アミノ酸をはじめて発見したのは?また、グルタミン酸ってアミノ酸なの?など、アミノ酸に関する豆知識を集めてみました。
1806年にフランスの学者がアスパラガスの芽の抽出物からアミノ酸を結晶として取り出すことに成功した。このときのアミノ酸が「アスパラギン」だ。
また、うまみ成分として有名なグルタミン酸は、ドイツで1866年に小麦粉のたんぱく質であるグルテンから取り出され、「グルタミン酸」と名づけられたのだ。
うまみ成分として調味料に使われているものは、グルタミン酸にナトリウムを結合させた、グルタミン酸ナトリウム。これは、昆布のうまみ成分の研究から発見されたものである。グルタミン酸とグルタミン酸ナトリウムは別物だ。
ちなみに、アミノ酸の中でも、グルタミン酸やアスパラギン酸は酸味とうまみがある。例えばトマトを食べる時、この2つのアミノ酸は欠かせないもので、しかもグルタミン酸とアスパラギン酸が4対1の割合で含まれているときが一番トマトらしい味になるそうだ。
20種類のアミノ酸は、それぞれの役割を持って人の体内ではたらいている。その役割をまとめてみた。
スレオニン | 肝臓への脂肪の蓄積を予防する作用を助ける。また、コラーゲンの材料になる |
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フェニルアラニン | 食欲の抑制や、学習、記憶、気分、注意力の向上など |
ヒスチジン | 皮膚で紫外線を吸収する化合物で、赤血球、白血球の形成に欠かせず、貧血の治療に使われる |
バリン | 筋肉に積極的に取り込まれるアミノ酸で、脳の神経伝達物質の前駆体(トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン)の取り込みに深い関係がある |
トリプトファン | 神経伝達物質であるセロトニンの前駆体で、成長ホルモンの分泌を刺激する |
ロイシン | 筋肉のたんぱく質の分解を抑える助けをしたり、エネルギー源として使われたりする |
リジン | ウイルスのはたらきを抑制する効果がある |
イソロイシン | 筋肉の組織の主成分。衰弱した人に対しては、筋肉の消耗を防ぐために使われる |
メチオニン | 抗酸化物質のレベルを上げ、血中コレステロールを下げる可能性があると言われている |
チロシン | 神経伝達物質であるドーパミン、ノルエビネフリン、エビネフリン、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、メラニンの前駆体。気分を高揚させるはたらきもある |
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シスチン | 傷の治癒の促進、シミの原因になるメラニン色素の沈着を防ぐ |
アスパラギン酸 | 炭水化物をエネルギーに変換し、体内の老廃物の処理や、疲労回復に効果がある |
アスパラギン | アスパラギンは加水分解されるとアスパラギン酸に変化する |
セリン | 記憶、神経系の機能を助けたり、皮膚の潤いを保つ天然保湿因子の主成分になる |
グルタミン酸 | 知能を高めたり、潰瘍の治癒を早める。また、エネルギー源にもなり得る |
グルタミン | 最も多くみられるアミノ酸で、免疫系の機能に重要な役割を持つ |
プロリン | 筋肉のエネルギー源として使われやすく、脂肪の燃焼に関わっている |
グリシン | ほかのアミノ酸の合成を助け、ヘモグロビン、チトクロームの材料になる。また、保湿作用、酸化防止作用がある |
アラニン | 脂肪の燃焼に関わっている。また、免疫系をつくりだすために重要 |
アルギニン | 脳下垂体にはたらきかけて、成長ホルモンを分泌される。免疫機能の向上や、肝機能の増強、脂肪の燃焼などの作用もある |
アミノ酸がたくさん含まれる食品を見分けるための指標に、食品のたんぱく質の評価をした「アミノ酸スコア」というものがある。これは、食品に含まれる9種類の必須アミノ酸の必要量をもとに、それぞれがどれだけバランスよく含まれているかを評価したものだ。
最高値は100。数値が高いほど、必須アミノ酸がバランスよく含まれていることになる。
資料:アミノ酸資料集I(平成8年度改訂版) 日本必須アミノ酸協会