人の体の約70%を占めている水分は、人体にとってかかせないものです。水分が不足すると、脱水症状を起こして熱中症などにかかってしまいます。とくに子供は自分で水分管理をできないこともあり、大人が注意してあげる必要があります。
毎年、夏になると、車の中に置き去りにされて死亡してしまう子供たちのニュースが後をたたない。また、ゴルフや炎天下でのスポーツ・イベントなどで、脱水症状を起こして倒れるなど、ひどい時には生命に関わる危険を伴うことがある。「まだ5月だから、大丈夫でしょ!」と思っていると、実は危険!この時期でも熱中症は起こりうるのだ。
熱中症とは、暑熱環境下にいたり、運動などで体内にたくさん熱を発生させた時に、体温の調節機能がうまくはたらかなくなって全身にさまざまな不調を起こすもの。ひどい時には、運動開始から30分程度で起こることもあるほど。
医学的には、以下のようなものがある。
熱失神 | 暑さで血管が拡張して血圧が下がり、めまいや失神が起こる。 |
---|---|
熱けいれん | 汗をたくさんかいて血液中の塩分濃度が低くなったために筋肉が痙攣する。 |
熱疲労 | 大量に汗をかいて脱水症状を起こし、倦怠感、めまい、頭痛、脱力感、吐気などを起こす。 |
熱射病 | 体内の熱が放散されずに体温が上昇し、めまい、頭痛、吐気などから始まり、意識障害を起こしたりひどい時には呼吸停止などを起こす。 |
人の体の約60~70%は水分だと言われている。この水分は、体内への栄養分の運搬、老廃物の排泄、体温調節など、そのさまざまなはたらきのために必要なだけでなく、血液や細胞間にも存在しているのだ。
だから、排泄や発汗により体内の水分が失われれば、それを補わなければならないのは当然のことである。
ちなみに、体内の水分には塩分が溶けている。その塩分は食べ物から補給しているが、その濃度を正常範囲で一定に保つことが、生命を維持するのに必要なことなのだ。例えば、血液から水分だけが出てしまうと塩分濃度の高い、ドロドロっとした血液になる。そうなると血流も悪くなり、血管が詰まりやすく心臓にも負担をかけることになってしまう。
そうならないためにも、濃度を一定に保つために一定量の水分が必要なのだ。体内の水分が欠乏すると、体にさまざまな不調が訪れる。
欠乏率 | 症状 |
---|---|
1% | のどが渇く |
2% | 強いのどの渇きを覚える、ぼんやりする、食欲減退など |
4% | 疲労、吐気、感情の不安定、動きが鈍るなど |
6% | 手足が震える、頭痛、体温が上昇する、脈拍呼吸が上がる、皮膚は紅潮化する、など |
10% | 失神、舌の膨張、筋けいれん、血液濃縮、腎機能不全など |
15% | 皮膚がしなびてくる、目の前が暗くなる、目がくぼむ、舌がしびれる、皮膚の感覚が鈍る、など |
20%以上 | 生命の危険、死亡する |
乳幼児期は一番体重が増える、つまり成長する時期であり、水分を必要とする。が、自分では水分が不足しているかどうかはなかなか判断できない。乳幼児は1日当たり体重1kgにつき150mlもの水分が必要になることがあるため、暑い日に汗をたくさんかいたり、下痢・嘔吐などで水分が不足した場合には、あっという間に脱水症状に陥ることもある。
これからの時期、外で遊ぶ場合には、充分な水分補給を大人が注意してやる必要がある。
更新日:2002年5月13日