現代の子供は視力低下が進んでおり、その原因のひとつはテレビゲームの普及にあります。しかし、子供の近視を放っておくと網膜に穴があく病気にもなりかねず、軽視してはいけません。
日本人に近視が急増している。メガネ利用者は日本全国で1,200万人はいると言われているほどだ。
文部科学省の子供の視力調査(平成10年度の学校保健統計調査)によると、裸眼視力で1.0未満の子供の割合は、幼稚園、小学生では約4分の1、中学生では半分、高校生になるとなんと約3分の2もいるというのだ。昭和63年度の調査と比較すると、確実に増えていることが分かる。
その原因は、テレビの見過ぎといわれるが、最近ではやはりテレビゲームの影響が大きいようだ。
また、大人になれば視力は下がらない、と思われている節もあるが、そんなことはない。最近のパソコン普及に伴い、やはり大人も視力が低下しているのだ。
昭和63年度 | 平成10年度 | |
---|---|---|
幼稚園 | 23.2% | 25.8% |
小学校 | 19.6% | 26.3% |
中学校 | 39.4% | 50.3% |
高等学校 | 54.5% | 62.5% |
※平成10年度 学校保健統計調査(文部科学省)より
出典:「ブルーベリーは本当に目に効く!」葉山隆一著 現代書林
出典:「ブルーベリーは本当に目に効く!」
葉山隆一著 現代書林
さて、なぜ視力は低下するのだろうか。それを知るために、まず目の仕組みを知っておこう。
簡単に言えば、目はカメラのような構造をしている。物を見る時には、光として認識し、瞳を通して入ってきた光は網膜に像を結ぶ。この時、角膜や水晶体がレンズの役割をしてピントを合わせているのだ。このピントが合わなくなった状態が近視や遠視、乱視を招いている。
出典:「ブルーベリーは本当に目に効く!」
葉山隆一著 現代書林
網膜より前にピントが合ってしまう状態。
近視にも2通りあり、ひとつは「屈折性近視」と呼ばれ、水晶体が厚く膨らんだままピントの調節がうまくいかなくなった状態。
もうひとつは「軸性近視」と呼ばれ、眼球の長さが伸び過ぎてしまい、角膜から網膜までの距離が長すぎるために起こるもの。
近視の多くは「屈折性近視」である。
近視とは逆に、網膜より後ろにピントが合ってしまう状態。やはり、「屈折性遠視」と「軸性遠視」があり、屈折性遠視は水晶体が薄く伸び切ったままになってしまい、近くを見ようとしても厚く膨らまない状態。軸性遠視は、眼球の長さが短すぎるために起こるもの。
多くは角膜や水晶体の表面がでこぼこになっているために起こるもの。
「目が悪くなったら、メガネをかければいいから…」なんて安易に考えてはダメ。とくに、成長段階にある子供は眼球も十分に発達していないため、その状態で近視になると無理にものを見ようとする。すると、眼球の軸が異常に伸びてしまい、軸性近視になってしまう。この眼球の伸びに網膜が追いつかないと、網膜になんと「穴」が開いてしまうのだ。
これは、「網膜裂孔」ともいわれ、子供が目の異常に気がつかないまま治療が手遅れになると、失明してしまうことにもなりかねない。
テレビゲームに夢中になり過ぎて、気がついたら近視になっていた!なんてことにならないように。