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ジメジメ梅雨の時期はダニが繁殖!

ダニの種類は50万種類以上。チリダニやツメダニなどが人体に悪影響を与えます。高温・多湿を好むため、夏は爆発的にダニが増える時期です。

ダニはアレルギーのもと!

ダニは、カビとともに、アレルゲン(アレルギー症を発症させる原因となるもの)になり得るものです。 ダニそのものだけでなく、ダニの糞や死骸などは、アレルギー性鼻炎やぜんそくの原因に、またツメダニと呼ばれる刺咬性のあるダニが刺したときの分泌物(唾液)は、アレルギー性皮膚炎を発症させるもととなります。
特に、アレルギー性ぜんそくは、80%以上ダニが原因であるといわれています。
小さい子がいる家庭や、アレルギー症の人には、ダニは天敵なのです。

ダニってどんな生き物?ダニの繁殖条件

さて、ダニとはどんな生き物なのでしょうか?
生物学的分類では、クモの親戚です。ただし、クモや昆虫は、頭、胸、腹が分かれている(クモの頭と胸は一緒)のに対し、ダニは部位ごとに分かれておらず、ひとつしかありません。

ダニの体長は100~1000マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)、幅50~200マイクロメートルです。人間の肉眼で見える大きさは100マイクロメートルまでだといわれているため、家の中にダニがいても、見つけることはほとんどできません。

ダニは次のような条件で繁殖します。

ダニの繁殖条件

  • ●温度…20~30度
  • ●湿度…60%以上
  • ●栄養源…カビ、他のダニ、人のフケ、食べ物など
  • ●繁殖期…6~10月。6~7月に増殖が始まり、8月にピークを迎える

30匹が1万匹に!

ケナガコナダニを夏と同じ条件(温度25℃、湿度75%)で水やエサを十分に与えたところ、30匹が10週間で1万匹に増えたという実験結果があります。おもしろいことに、冬を想定した温度・湿度では、いくらエサや水分があっても、30匹が10週間後には半減してしまったそうです。

ダニの種類によっては条件さえそろえば、2週間ほどで卵から成虫に育つといわれています。やはり、夏は爆発的にダニが増える時期なのです。

家屋の代表的なダニたち

ダニの種類は50万種類以上。そのうち、家屋で検出されるものは100種類ほど。それには、次のようなものがあります。

知ってる?ダニのいろいろ

  • ●チリダニ科

    家屋に生息するダニの中で、圧倒的に多いのがこのチリダニ(科)。なかでも、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニが多い。チリダニは人のフケやアカ、食品クズを栄養源とする。畳やじゅうたんなどの床表面近くやベッド、布団などの寝具にいる。
  • ●イエササラダニ科
    カビを主食とするダニ。カビの生える場所、とくに畳やござなど、ワラやイグサで作られた畳床で繁殖する。梅雨どきから夏に大量発生する。
  • ●ツメダニ科
    人を刺したりかんだりするダニ。ミナミツメダニやクワガタツメダニなどが、これに分類される。人を刺したときに、代わりに唾液腺の分泌物質を注入する。それがアレルゲンとなる。刺されるとかゆさが1週間ほど続き、皮膚が赤くもりあがる。
  • ●コナダニ科
    ケナガコナダニもカビを食べて繁殖する。スナック類を床に寝転んで食べたり、食べ物を床に放置しておくと、食品とともに体内に入り、アレルギーの原因になりやすい。
  • ●ニクダニ科
    イエニクダニ、チリニクダニ、サヤアシニクダニなど。家屋から検出される。とくに、魚介類の乾燥物や干物を好む傾向がある。比較的低温(15度くらい)を好み、繁殖するため、11月~3月に現れることがある。
公開日:2015年7月21日