カビや細菌、ウィルスなどは、普通は「汚いバイキンだ!」といわれる嫌われもの。しかし、実は自然界の掃除屋としての大切なはたらきがあり、人体に悪影響を与えるものばかりではない。身近にいるカビをみてみよう。
カビや細菌、ウィルスなどは、単独の細胞が集合した原生生物に分類される。そしてこれらの微生物は、普通は「汚いバイキンだ!」といわれる嫌われもの。しかし、実は自然界の掃除屋としての大切なはたらきがある。
なかでもカビは、強力な酵素によってものを腐らせ分解しながら、ほかの生物にとって欠かせない栄養分を供給し、環境浄化に一役買っているのだ。そのはたらきをうまく利用したのが、みそやパンなどの発酵食品である。また、医薬品の分野でも青カビからペニシリンを作るなど、貢献しているのだ。
ちなみに、生物学的には細菌とカビは違うもの。例えば、増殖のしかたでは、細菌が細胞分裂によって増殖するのに対し、カビは細胞が糸状に伸び、たくさんの胞子を空気中に飛び散らせてあっというまに増殖してしまう。
4万種類以上もあるといわれているカビ。あまりに多くてまだ不明なものも多いようだ。ただ、前述のように、人体に悪影響を与えるものばかりではない。身近にいるカビをいくつか挙げてみよう。
カビは一部のものを除いて好気性菌(空気が存在しないと生きていけないもの)であり、植物のような葉緑素がないので自活できず、栄養のあるものに寄生して繁殖する。
その栄養とは、食べ物だけではなく、ガラス窓やタイルなどについた手垢などの汚れでもいいのだ。つまり、いたるところにカビが好む栄養が存在するため、どこにカビが生えてもおかしくはない。