疾患・特集

病気を治すこともある!?ペットパワーは効果大

動物を病気の治療に役立てるのがアニマル・セラピーです。動物介在療法とも言います。イルカを使った自閉症治療について、ご紹介します。

アニマル・セラピーとは?

アニマル・セラピー」とは、正確には「アニマル・アシステッド・セラピー」といい、日本語でいうと「動物介在療法」です。つまり、動物を参加させて治療を「アシスト」するセラピーで、老人ホームや障害児施設などで取り上げられ始めています。最も長い歴史を持つ「乗馬療法」や「イルカ療法」などがあり、さらに「盲導犬」もこれに当たります。

自閉症治療に大きく貢献―イルカ療法とは?

長年イルカ・セラピーを研究してきた、ベッツィ・A・スミス氏は、「イルカと一緒に泳ぐと自閉症児の問題行動が改善されたり、注意持続時間が長くなる」という実験結果を発表しています。

実験方法

自閉症児に対し、丸8日、24時間体制の合宿の形をとり、午前はイルカと遊び、午後はセラピストと過ごします。

イルカ・セラピーによる効果

  • アイ・コンタクトの回数と発生頻度が増える
  • 個人空間が狭まり、人を近づけるようになる
  • 注意持続時間が長くなる
  • 個々の問題行動が減る
  • 睡眠障害の改善

などの結果が得られました。また、日本でも1998年に昭和大医学部グループによって、中程度の精神遅滞を伴う5~14歳の自閉症児3人と重度の精神遅滞の5歳児1人を対象に沖縄で3泊4日の合宿を行い、イルカ療法を施しました。医療スタッフと心理カウンセラーが付き添い、イルカと共に泳いだりイルカに触ったりしたところ、不安そうな様子が減ったり、自分から絵を描くなどの改善が見られました。

なぜ、イルカが治療に効果的なの?

一概には言えませんが、数多くの研究のなかで言われているのは、「イルカには健常者と自閉症児を見分ける力があり、しかも自発的に自閉症児と多く接触しようとしている」ことです。
これがなぜなのかは、はっきりとは解明されてはいません。イルカやクジラ、ゾウなどは傷ついた仲間をかばう性質があると言われています。
一部では、「イルカは超自然の力を持っている」「テレパシーを持っている」など言われていますが確証はなく、ただ少なくともイルカが病人に自ら近づき、なんらかの症状改善に影響を与えていることは確かなようです。

もちろんイルカ療法の効果は、イルカだけによるものでなく、太陽の下で広い海の中に潜り、多くの人の助けを借りてイルカと泳ぐ経験をすることも影響を及ぼしていると考えられています。

犬や猫でもアニマル・セラピーに大きく貢献

イルカと一緒に泳ぎたくても、そうそうできることではありません。でも、アニマル・セラピーには、犬や猫などが多く貢献しているのです。例えば、

  • 自閉症ぎみの子供が犬と暮らすようになって笑顔を取り戻した
  • 寝たきりで動く気力のなかったお年寄りが猫をなでようとして手を伸ばした
  • 老人ホームへ犬を連れて行ったら、会話が増えた

など、たくさんの例が報告されています。つまり、

「動物を抱いたり触ったりすることで心が安らぐ。不安が減って気力が高まったり、生活に張り合いがでたり、人との接触や会話が増える。さらには、高血圧の人の血圧が下がったり、寿命が延びる」

などの効果をもたらしているのです。