疾患・特集

利用できる公的制度

公的制度の種類

公的制度の中には、医療保険制度や医療費控除のように関節リウマチの患者さんの生活や治療を支援してくれる制度がある。ここでは、利用できるおもな公的制度について紹介しよう。

ただし、支援を受けるためには、申請手続きを行い対象者であると認められることが必要だ。また、関節リウマチの患者さんであっても、病気の重症度や生活状況によって受けられない制度があったり、同じようなサービスを受ける際に優先される制度などがあるので、各窓口や治療している医療機関に確認してみよう。

利用できる公的制度

監修:社会福祉士 岡田尚子氏

高額療養費 同じ病院や診療所で支払った1ヵ月(月の1日から月末まで)の医療費の一部が自己負担限度額(住民税課税状況により限度額が3段階に分かれる)を超え高額になった場合、医療費の一部を後で払い戻し、経済的負担を軽減する。
  • 対象者:健康保険に加入している70歳未満の被保険者および被扶養者
  • 問合せ:各保険者(居住地の市区町村役場や共済組合、健康保険組合など)
限度額適用認定証 高額療養費を後から払い戻されるのではなく、「限度額適用認定証」の発行により、自己負担限度額のみを病院の窓口に支払う制度。これにより、高額療養費の立替払いが不要となる。
  • 対象者:健康保険に加入している70歳未満の被保険者および被扶養者
  • 問合せ:各保険者(居住地の市区町村役場や共済組合、健康保険組合など)
高額療養費貸付制度 高額療養費が支給されるまでに時間がかかるため、支給予定金額の8割ほどを無利子で貸付し、経済的負担を軽減する。
  • 対象者:健康保険に加入している70歳未満の被保険者および被扶養者
  • 問合せ:各保険者(居住地の市区町村役場や共済組合、健康保険組合など)
特定疾患治療研究事業
(難病患者の医療費の助成制度)
後遺症を残したり、原因の究明・治療などの調査研究が必要な特定の病気の場合、医療費の一部または全額を、国と都道府県が援助する事業。
  • 対象者:特定疾患治療研究事業の対象となる病気(2009年8月現在、悪性関節リウマチなど45疾患)をわずらい、治療中で医療費の自己負担がある方
  • 問合せ:最寄りの保健所
高額介護合算療養費 医療保険の一部負担金と介護保険の利用者負担の額の年間(8月~翌年7月)合計額が一定の限度額を超えた場合、超えた額が還付される。
  • 対象者:医療保険の一部負担金と介護保険の利用負担の合計額が一定の限度額を超えた方。
  • 問合せ:各保険者(居住地の市区町村役場や共済組合、健康保険組合など)
介護保険制度
(介護保険法)
介護が必要な高齢者や、その可能性が高い人を40歳以上の国民の保険料で支える制度。訪問看護、福祉用具の貸与や購入費の支給、また介護施設への入所サービスなどを受けられる。
  • 対象者:通常65歳以上で日常生活において介護が必要な方(第一号被保険者)
    ※慢性関節リウマチ患者さんでは、40歳以上であれば対象となる(第二号被保険者)
  • 問合せ:居住地の市区町村役場
障害者自立支援法 障害者や障害児が、現在の地域で生活していけるよう、就労を進め自立を支援する制度。障害の程度に応じて、障害に係る公費負担医療や、身体機能や生活能力の自立訓練、自助具の交付や購入の補助、訪問介護、施設へのショートステイなどのサービスが利用できる。
  • 対象者:身体障害者、知的障害者、精神障害者、障害児
    ※サービスを利用するには障害者手帳を有している必要がある。
  • 問合せ:居住地の市区町村役場
障害年金制度 病気やケガにより「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」に規定された障害だと認定された場合、障害の程度に応じた手当金が支給される。
  • 対象者:国民年金または厚生年金を一定期間納付しており、「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」に規定された障害のある方 ※20歳未満の規定もあり
  • 問合せ:厚生年金:社会保険事務所,国民年金:市区町村役場,共済年金:各共済組合
身体障害者手帳 上記、障害者自立支援法におけるサービスや各種の手当・年金の支給、旅客運賃の割引など、障害のある方が、医療的・社会的・経済的なサービスを受けるために必要となる
  • 対象者:各法に定める程度の障害に該当する方
  • 問合せ:居住地の市区町村役場や福祉事務所
難病患者等居宅生活支援事業 関節リウマチおよび難病の患者さんが、生活の質を保ちながら自宅で暮らしていけるよう支援する事業。日常生活用具給付、一時的な医療施設への短期入所、ホームヘルパーの派遣などのサービスがある。
  • 対象者:難治性疾患克服研究事業(臨床調査研究分野)の対象となる病気(2009年8月現在130疾患)および関節リウマチの患者さんで、自宅療養が可能だが、介護サービスが必要な方
    ※老人福祉法、障害者自立支援法、介護保険法などの対象であれば除外される
  • 問合せ:居住地の市区町村役場

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