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ドクターインタビュー(1)〜CKDの基礎知識を深めよう

日本腎臓学会理事長 槇野先生に、CKDの基礎知識やその対策についてのお話をお伺いしました。

槇野 博史 先生

■お話手
岡山大学大学院医歯学総合研究科
教授 槇野 博史 先生
■ご略歴
1975年4月に岡山大学医学部卒業。その後、同大学助手、米国ノースウェスタン大学医学部客員助教授、岡山大学医学部内科学 第三講座助教授を経て1996年4月より現職。日本腎臓学会理事長ほか1医学会役職多数。

CKDの基礎知識を深めよう

―― CKDとは、どんな病気ですか?

CKD(chronic kidney disease)は、「慢性腎臓病」という病気です。腎臓には、血液中の老廃物を取りのぞく、体内の水分量を調節するといった役割があります。こうした働きが十分に果たせなくなってしまうのが慢性腎臓病です。
といっても、新しく発見された病気というわけではありません。これまで腎臓の病気は、慢性糸球腎炎、糖尿病性腎症など、原因や状態によってそれぞれの病名で呼ばれていました。これらを病気ごとに呼ぶのではなく、1つの病気として大きくとらえたのが「CKD=慢性腎臓病」なのです。

CKDは(1)タンパク尿が出ている、(2)腎臓がどのくらいきちんと働いているかを示す糸球体ろ過量(GFR)※が健康な人の60%未満に低下している=60mL/分未満という2項目のいずれか、あるいは両方が3ヵ月以上続くものとされています。
※糸球体ろ過量(GFR): 1分間に糸球体がろ過できる血液の量を示す値。腎臓の機能の程度の指標になる。

―― CKDという言葉は、最近、雑誌や新聞などでも取り上げられているのを見かけます。なぜ、注目され始めたのでしょうか?

最近の研究で、腎臓の機能の低下は心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中などの心血管疾患(CVD)を起こす危険が高まることがわかってきました。高血圧を合併すると、その危険性はさらに高くなります。近年は「メタボリックシンドローム」が注目されていますが、CKDも同じくらい、もしくはそれ以上に、心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中などの重大な病気につながる生活習慣病として注目されています。
一方で、治療の進歩により、CKDは治療が可能になってきました。早期に原因を発見して治療を行えば、腎臓の機能が低下するのを抑えられますし、改善も期待できます。そのためにも、わかりやすい診断指標を用いたCKDの定義を導入し、普及させて国民の健康維持につなげていこうという動きが広がっています。

いま、日本のCKD患者は約1,330万人にのぼり、成人の8人に1人といわれています。そのうち、病気が進行し透析治療を受けている人の数は2006年末時点で約27万人※と、国民の500人に1人という計算になります。透析患者数は増加の一途をたどっていますが、透析は、生涯にわたる通院、服薬、食事制限といった様々な制約が必要になり、その人のQOLを大きく損なうだけでなく、国民医療費にも大きな負担です。今や透析にかかる医療費は、年間1兆円を超え、国民総医療費の約4%を占めるまでになっているのです。こうした事態に待ったをかけるために、取り組みが始められています。2007年には厚生労働省が重点的に取り組むべき課題の1つに取り上げられ、戦略研究がスタートしました。

―― 腎臓病の戦略研究(FROM-J)の概要を教えてください。

腎臓病の戦略研究は、正式名称を「かかりつけ医/非腎臓専門医と腎臓専門医の協力を促進する慢性腎臓病患者の重症化予防のための診療システムの有用性を検討する研究」(FROM-J :Frontier of Renal Outcome Modification in Japan)といいます。

CKDは8人に1人と患者数が多いので、腎臓専門医だけで診ていくことはできません。そのため、かかりつけ医と協力していくことが大切です。
この研究は、かかりつけ医がCKD診療ガイドにもとづいて腎臓専門医と連携を図って診療を行うことが、CKDの重症化予防に有効なシステムかどうかを検証するものです。

具体的には、CKDガイドによる治療に加え受診促進支援や栄養・生活指導などの患者さんへの介入を行う場合と、介入を行わない場合とで受診の継続率やCKDの進行率、かかりつけ医と腎臓専門医との連携率に差が出るかどうかを評価していきます。
2007年から5年にわたって行い、透析導入患者を5年後に予測される導入患者数から15%減らすことを目標としています。

―― CKD対策には何が大切ですか?

CKDの進行を抑えるために重要なのは、何と言っても血圧のコントロールです。CKDは高血圧を引き起こしやすく、高血圧も腎臓内部の血管を傷つけCKDを悪化させます。CKDと高血圧は一緒に起こりやすく、また、お互いを悪化させるという悪循環を引き起こします。そして、この2つが重なると、心血管疾患(CVD)を起こす危険がさらに高まります。だからこそ、毎日自宅で血圧を測定し、医師のチェックを受けながら適正な範囲にコントロールしていくことが大切なのです。

また、腎臓に過度な負担をかけないような食事の管理、適度な運動、禁煙といった生活習慣の改善が、CKDの予防や進行を遅らせる重要なカギになります。

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