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COPD 日常生活の注意点と急な症状の対処法

日常生活のコツで、体力消耗をおさえる

日常生活のコツで、体力消耗をおさえる

私たちが日ごろ何気なく行っている、物を持ち上げる、着替える、トイレ、入浴といった動作も、COPD患者の場合コツが必要となる。たとえば、普段力を入れて物を持ち上げるときには呼吸を止めてしまうものだが、COPDの患者にとってこれはNG。口つぼめストレッチの呼吸法をすべての動作に取り入れよう。

また、肺が圧迫されてしまうような姿勢も避けたい。洋服を着替えるときも、かがまないようにイスに腰掛け、ゆっくり呼吸しながら行うと楽にできる。1日のなかで体調のいいとき、悪いときがあるので、できるだけ体調のいいときに必要な作業は済ませてしまおう。

日常生活のこんな場面にコツがある!

着替え

イスに腰掛けて、かがむ動作をできるだけ避ける。また、腕を高くあげる動作を繰り返し行うと息苦しさが増すので、洋服はイスの高さより少し高めで、楽に手が届く場所にそろえてもらうなどの工夫を。

入浴

湯船には肩まで深くつからない。浴槽が深い場合は浴槽内イスやすのこを入れる。体を洗うときは手を脇から出して無理なく背中を洗えるように柄の長いブラシを使う。洗い場にもイスを置き、なるべく前かがみにならないようにする。

トイレ

深く沈み込まなくても済むように、和式便座は洋式にする。現在使っているのが和式の場合は、改装工事を必要とせず、簡単に装着できる洋式便座を置くなどの工夫を。長く座っていたり、いきんでしまうと呼吸が苦しくなることがあるので、適度に食物繊維を取り、お腹の調子を整えよう。

体調変化のサインを見逃さない!

COPDは、軽症のうちでもインフルエンザや風邪などをきっかけに深刻な呼吸不全を起こす「急性増悪」に陥ることが少なくない。だからこそ処方された薬をきちんと飲むことはもちろん、日ごろの体調管理を徹底し、感染症の予防にもつとめたい。急性増悪には個人差があるものの、次のようなサインが現れることがあるので、もしやと感じたときにはすぐにかかりつけ医を受診しよう。

こんな症状が出たら…「急性増悪」のサイン

  • 食欲・意欲の低下
  • いつもより呼吸が苦しく感じる、息苦しくて歩けない、話ができない
  • 頭痛がしたり、頭がボーっとする
  • 唇や爪が紫色や白っぽく血の気がない(チアノーゼが起こっている場合がある)
  • たんが切れにくい、色がいつもと違う
  • 眠気が強く、冷や汗が出る
  • 呼吸数が増えたり、脈が速くなっている
  • 足のむくみがある

また、いざというときに備えて、あらかじめかかりつけ医に日中の連絡先、夜間の対応をどうすればよいかなど確認しよう。自分の病状、服用している薬も合わせてメモ書きしたものを常に携帯しておけば、仕事場や外出先での急変に対してもすばやい処置が可能になる。

止まらないせきはどう対処する?

止まらないせきはどう対処する?

COPD患者は、一度せきこみ出すと止まらなくなることもしばしば。せきこむ時間が長くなると苦しいだけでなく、体力も消耗してしまうので、常にぬるま湯などの水分を用意し、のどがいがらっぽくなったとき、ムズムズしだしたときに飲むようにしよう。

水分不足になると、たんの粘り気が増え、気道にからまりやすくなってしまう。普段から水分補給をまめに行うことで、たんの粘り気を防いだり、切れやすくしておこう。たんをせきで切るときは、1度内側にこもるようにしてから、気管内に響かせて、からんだたんをのどからはがし、2度目のせきで外に出すと切れやすくなる。たんはティッシュなどに出し、色がいつもと違わないか確認することも忘れずに。

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