洋服にもひと工夫で、安心して外出を
過活動膀胱の症状があるからといって、一切の外出を控えるというわけにもいかない。しかし、尿もれや尿失禁などの症状がある人にとっては、いつどこで起こるか分からないという不安が常につきまとう。もちろん、尿もれや失禁の治療は病院で行うことになるが、治療と並行して、念には念のひと工夫で、外出時の不安をなくそう。まずは外出時に着る洋服へのひと工夫から。
- ●尿もれをしたときにも隠せるように、ヒップの隠れる丈の長い上着を着よう
- ●ズボンは少し濡れても目立たないような色のものを着用しよう
グレーや薄茶などは少しでも濡れるとはっきり分かるので注意しよう。
- ●骨盤をしめつけるようなガードルやきつい洋服、タイトなスカートなどは避けよう
骨盤をしめつけるようなガードルは症状を悪化させる可能性もあること、また尿意を感じてトイレに駆け込んだときにすぐに脱げるように。
- ●ズボンの股部分に内側から防水スプレーをあらかじめ吹きつけておこう
尿もれがあったときにも、表ににじみ出てくる心配が少なくなるので安心。
外出先での尿もれ、周りの目を気にしないために…
- ●外出時は、デリケートな部分用のウェットティッシュや、スプレーを携帯しよう
もしも尿もれをしてしまっても、ウェットティッシュでふき取れば不快さが減る。
- ●生理用のナプキンを尿もれパッドの代用にせず、専用のパッドを使用しよう
専用のものであれば、 1回分の尿量(約200cc程度)を吸収してくれる。またショーツも専用のものを使うことで、パッドがずれにくく安心。
- ●外出先や旅行先のトイレの状況を事前に確認しよう
普段買い物で使うお店は、トイレのある場所を把握しておこう。はじめていくお店では、入り口でフロアガイドをもらっておくと、何階のどこに女子トイレがあるかがわかるので便利。また最近は、高速バスを使った旅行も人気だが、トイレ休憩はあっても、車内にトイレがないこともある。事前に車内にトイレがあるか確認するか、いつでもトイレに立てる電車を利用する方がよいだろう。
- ●駅やデパートなどでは、できるだけトイレに寄っておこう
そのとき行きたいと思っていなくても「今、行ったから大丈夫」という気持ちが安心につながるもの。
- ●新幹線や映画館、劇場などの座席を取るときには、通路側を取るようにしよう
トイレに行くたびに人を立たせたり、何度も前を通るのは気が引けるもの。通路側なら「いつでも行けるから大丈夫」という安心感がある。
さらに過活動膀胱と快適につき合うコツ!
過活動膀胱による尿もれは、重いものを持ったり、急に走ったりすることで起こることもあるので、できるだけゆとりを持って行動することが大切になる。買い物も、通信販売や宅配などを上手に利用して、なるべく重たいものを持たないようにしよう。
突然尿意が襲う尿意切迫感や、切迫性尿失禁の場合は、ドアノブ症候群などと呼ばれるように、帰宅して玄関のドアノブに触れた瞬間に尿もれを起こしてしまうケースがある。それだけでなく、ヒヤッとするような冷たいものに触ることで、尿もれを起こすことも。また、水の流れる音などが尿意のきっかけになることもあるので、滝や川などが有名な観光地へ行くときには、より一層注意が必要になる。
少しの工夫でも、安心して快適に過ごすことは可能だ。治療を継続しながら、自身が尿もれや尿失禁を起こしやすい状況を覚えておくことで、事前に対処し、過活動膀胱の症状と上手につきあっていこう。悩んでいるのは自分だけではないのだから。
参考文献:「女性婦人科外来へ行こう」(法研)
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