過活動膀胱の症状があると、常にトイレのことが頭から離れなくなり、外出もままならなくなる人もいる。 治療を行うことによって大幅に症状が軽減されることがわかっても、長い間悩んできた尿もれや尿意への不安に悩まされる人もいるだろう。 そこで、日常生活のなかで、より安心を得るためのさまざまな対策を紹介する。
トイレが寒いと、なかなかリラックスできないもの。短いトイレタイムでも、足元が暖まるよう、ヒーターを入れたり、リラックスできるラベンダーなどの芳香剤を使うなど、家のトイレをリラックス空間に変える工夫を。
過活動膀胱の症状がない人でも、冷えは尿意をもたらすもの。とくに足元やお腹の冷えは体全体の冷えとなるので、ひざかけや腹巻、厚手の靴下を履くなどの工夫を。
尿もれがあると同時に気になるのがそのニオイ。神経質になり過ぎる必要はないが、入浴時にはデオドラント効果の高い石鹸を使って体を洗い、清潔を保とう。
夜間の頻尿や尿もれなど、就寝時にも不安の多い過活動膀胱。 就寝前の水分摂取は控え、大きめの尿もれパッドを使用して、もれを気にせずにぐっすり眠ろう。どうしても不安な人はパッドと尿もれ対応のショーツを組み合わせれば、より安心感を得ることができる。
日々追われる家事の合間にも、つい尿もれが気になって…という人は、少し意識を変えたり、心がけるだけでも安心できる、こんなノウハウを紹介しよう。
切迫性尿失禁や尿意切迫感の症状があると、水で手を洗ったり、水の音を聞くだけで尿もれや失禁を起こすこともある。水仕事をする前にトイレに行っておくだけでも、安心につながる。
急に立ち上がったり、素早く動いたときに尿もれは起こりやすくなる。 掃除や洗濯はテキパキとこなしたいところだが、あせらずにゆっくりとした動きで行うよう意識してみよう。重い荷物を運ぶときは、少し面倒でも何回かに分けるのも手だ。
過活動膀胱となる原因のひとつが肥満であり、便秘であるといわれている。その原因を一つひとつ解消していくことも重要な過活動膀胱対策だ。
便秘対策に欠かせないのが、食物繊維をきちんと摂ること。食物繊維は、腸管の動きをスムーズにしてくれたり、水分を含んだやわらかい便にしてくれるはたらきがある。 便秘になるとついついトイレでいきんでしまうが、これは過活動膀胱を引き起こす要因となる行為。毎日のスムーズなお通じを心がけよう。
とくに頻尿の症状が強い人は、利尿作用のある飲料をなるべく避けるようにしよう。代表的なものはコーヒーなどに代表されるカフェインを含む飲料やアルコール。 カフェインは、膀胱括約筋の作用に影響しているアデノシンの働きを抑制してしまうため、尿意を引き起こしやすくなる。 カフェイン飲料やアルコールを飲むこと自体が直接病気を悪化させるということではないが、利尿作用によって、トイレの回数が増えることは、過活動膀胱の症状を持つ人にとっては、QOLを大幅に低下させることにつながるので、出かける前や就寝前には避けたほうがよい。
参考文献:「女性泌尿器科外来へ行こう」(法研)