外出先でのトイレが心配なため、常にトイレを探してしまったり、水分摂取を控えてしまうなど、気苦労が絶えない。友人たちとお茶を飲んだり、食事をしたりしても落ち着かず、心から楽しめない。夜間に何度もトイレに行くため、熟睡できない。寝ている間に尿もれしてしまうのではないかと心配――。
こんな症状、身に覚えがないだろうか。年齢のせいだと思って我慢したり、人に言えず悩んでいないだろうか。これらの症状は「過活動膀胱」という病気による可能性が高い。我慢できずにひとりで悩んでいたその悩み、解決への第一歩は病院への相談からはじまる。
急に強い尿意が起こり、もれそうな感じになる「尿意切迫感」が主な症状。ほかにも「頻尿」や「夜間頻尿」を伴うことがあり、場合によっては我慢できずに失禁する「切迫性尿失禁」を引き起こすこともある、排尿に関する症状症候群のことを「過活動膀胱」という。
まずはかかりつけ医にあなたの悩みを相談してみよう。もし、かかりつけ医を持っていないなら、専門医である泌尿器科で相談できる。女性の場合、泌尿器科に対して抵抗を感じる人がいるかもしれないが、そんな人のために最近では「婦人泌尿器科外来」を設ける病院も増えてきた。これは、女性がいつまでもはつらつとした毎日を楽しむには、尿トラブルの相談先が必要であるということの証明でもある。ほかにも女性外来を設けている病院では、女性の泌尿器科医が相談に応じる日を設定しているケースもある。
※女性外来では、尿失禁外来日など、曜日によって専門医の診察が受けられる日が決まっていることが多いので、電話などで事前に確認しよう
過活動膀胱の診断の基本は問診。初診では、これまでにどんな病気や手術をしてきたか、今飲んでいる薬は何かを確認する。これは、頻尿や尿もれが過活動膀胱以外の原因によって引き起こされている場合があるからだ。さらに尿トラブルがはじまった時期やどのようなときに起こったのか、今どんな状態で、どのような悩みがあるのかなど、くわしく話を聞く。
現在服用している薬や病歴、いつごろから尿トラブルが起こりはじめたかというのは、受診したその場ではすぐに思い返せないこともあるので、事前にメモにまとめておこう。
また、受診前2日間分の「排尿日誌」をつけておくことで、問診の際に現在の状況を医師に正確に伝えることができる。排尿日誌はとくに決められた書式があるわけではないが、起床、就寝時刻、オシッコをした時刻とその量、尿もれがあったかどうか、その日の体調など気になったことを記入しておこう。
問診で聞かれる内容のひとつに、病歴やこれまでに受けた手術がある。脳梗塞、脳出血、高血圧、糖尿病、パーキンソン病、椎間板ヘルニアなどの病歴があったり、尿失禁、膀胱瘤、子宮がん、直腸がんなどの手術を受けたことがある場合には、初診の問診時に主治医に伝えよう。