疾患・特集

太っているとなぜ悪い?

肥満には2つのタイプが

世の中にはダイエットに関する商品や情報が氾濫している。ダイエットに熱中する人の多くは「痩せてキレイになりたい」「オシャレがしたい」という、外見的な変化を望むケースが多い。ならば「太っていても全然平気」「服装にもまったく無頓着」という人は、本人さえ気にしなければダイエットの必要はないのだろうか?

じつは肥満には2つのタイプがある。1つは、外見上あきらかに太っているタイプ。もう1つは、見た目はさほど太っていない場合もあるが、医学的にみると危険なタイプ。前者を皮下脂肪型肥満、後者を内臓脂肪型肥満という。いったい、この両者にはどんな違いがあるのだろう?

内臓脂肪型肥満の恐怖

メタボリック・シンドロームという言葉をご存知だろうか?内臓脂肪型肥満(男性:ウエスト85cm以上、女性:90cm以上)で、高血圧・高脂血症・高血糖のうち2つ以上が該当するとメタボリック・シンドロームと診断される。

グラフ:危険因子の数と心臓病の発症

もともと高血圧や高脂血症、糖尿病(高血糖)という病気は、別々の原因から発症すると考えられていた。ところが多くの患者を観察する医師たちは、「これらが同時に発症するケースが多い」ことに気づく。さまざまな検証がなされた結果、影で操る犯人として突き止められたのが内臓脂肪というわけだ。

内臓脂肪を構成している脂肪細胞には、危険な悪役がひそんでいる。例えばTNF‐αというたんぱく質は、体内でインスリンのはたらきを低下させて血糖値を上げ、悪玉コレステロールを増やす。放置すれば、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を招く。内臓脂肪型の肥満が危険とされるのは、このためだ。

ミニ知識
お相撲さんはみな病人?

肥満といえばその代表格であるお相撲さん。堂々たる体型だが、彼らの脂肪の正体は、ほとんどが皮下脂肪。おまけに運動量も多いので筋肉量も多く、太っていても健康を害するようなことは少ない。ところが彼らも引退後、稽古を辞めたのに食生活を変えないでいると、内臓脂肪が増加してメタボリック・シンドロームになりやすくなるという。

「はらすまダイエット」で腹をスマートに

「内臓脂肪を減らすには、まずダイエット」を―――。日立健康管理センターでは従業員のメタボリック・シンドロームからの脱出をめざし、独自の「はらすまダイエット」を考案。90日間のプログラム※で多くの人がダイエットに成功したという。
(※「はらすまダイエット」は、全体の期間は180日。前半の90日で目標体重を達成し、残り90日は維持期とし、達成した体重を維持する期間としている。)

対象は、2006年4月の1ヵ月間に日立健康管理センターで総合健康診断を受けた男性1,264名のうち、多忙でダイエットどころではないという30~40歳代を抽出。メタボリック・シンドロームと診断された104名のうち「はらすまダイエット」へのチャレンジを決めた51名でプログラムをスタートした。
90日後の気になる結果は、「あと一歩」も含めメタボリック・シンドロームからほぼ脱出できた人が43名(約83%)。体重が減っただけでなく内臓脂肪、ウエスト周り、そのほか血圧や血糖値などの検査異常値も激減したという。

気になる「はらすまダイエット」の意味をご紹介しよう。ひとつは、「HITACHI ASSOCIATES LIFESTILE MODIFICATION & ACTION:HALSMA」-日立の仲間達が、生活習慣を変える、動く、そしてダイエットするという意味の頭文字。もうひとつは「腹をスマートに」の略語だ。ただし、スマートといっても「細い」という意味ではない。メタボリック・シンドロームと診断された人達が、目標に向かって具体的な数字を立て、忙しい毎日の中でも「これならできる」と確信できる「賢い」ダイエット法というわけだ。

「はらすまダイエット」の気になる実践法は、実践!はらすまダイエットで!

ミニ知識
内臓脂肪はどれ?

これは腹部のCT画像。青が皮下脂肪、白が骨、グレーは筋肉や腸、黒い箇所はガスだ。気になる内臓脂肪は、真中の赤い部分。
日立健康管理センターでは独自に開発したソフトにより、内臓脂肪を強烈な赤色で映し出す。
受診者からは「赤腹」と恐れられている。