「乳酸菌」と聞いて思い浮かぶのはどんな食品だろう?
「乳」という文字からヨーグルトやチーズなど、乳製品を挙げる人が多いのではないだろうか。「乳酸菌」とは、乳糖やブドウ糖などを栄養分として増殖し、乳酸をつくりだす細菌の総称。
そのなかで牛やヤギなど動物の乳をエサに増殖するものを「動物性乳酸菌」といい、米・麦・果物など植物をエサに増殖するものを「植物性乳酸菌」という。
人間は太古の昔からこれらの菌と共存し、活用してきた。その土地の気候・風土にあった形で加工され、いまでは世界各地で健康によい食品として愛されている。乳酸菌は私たちにとって、とてもなじみ深い菌なのだ。
日本で「植物性乳酸菌食品」というと味噌やしょうゆ、漬物など、食卓でおなじみの食品が挙げられる。その歴史は古く、例えば味噌は、古く奈良時代に中国から日本に伝えられたとされている。室町時代には庶民の常食としてひろく普及していたというから、少なくとも数百年、食べ続けられてきたことになる。植物性乳酸菌が日本人の腸にいかになじみが深く、相性がよいかがうかがえる。
いっときこれらの食品は「塩分が多いのでは?」という誤解から敬遠された時期もあった。しかし肉食・カロリーオーバーの弊害に苦しむ現代人を救う健康バランス食品として、あらたに脚光を浴びている。
「京都の男性は全国2位の長寿」-この新聞記事にひときわ強い関心を抱いた人物がいた。
財団法人ルイ・パストゥール医学研究センターの岸田綱太郎博士だ。
岸田博士は、京都人が好んで食べる食品の中に、京都男性の長寿の秘訣がかくされているのではないかと着目。もともと長寿と乳酸菌との関連を研究していた博士は、京都人がよく食べ、乳酸菌が豊富に含まれる食品「漬物」を片っぱしから調査した。
そのなかのひとつ、独特の酸っぱさが特徴の漬物「すぐき」に目をつけ研究を開始したところ、これまでにないまったく新しいタイプの乳酸菌-「ラブレ菌」が発見されたのである。