突然起こる、苦しい発作。喘息の人とそうでない人では、気道の様子は異なる。 喘息の人の気道は、刺激により慢性的に炎症が起きていて、発作が起きていないときでも炎症により分泌物が出て、常に表面がむくんだ状態になっている。この状態は、たばこの煙や排気ガス、ダニなど少しの刺激にとても敏感で発作が起こってしまう。 発作が起こると、気道のまわりの筋肉が縮み、分泌物もさらに増え、むくみがひどくなる。空気の通り道がぐっと狭くなるため、喘鳴(呼吸時のヒューヒューという音)、呼吸困難、咳などの症状があらわれる。通常の発作では、しばらくするともとの状態に戻るが、重い発作の場合は気道が完全にふさがってしまい、息がほとんどできずに命に関わることもある。
喘息の患者さんの中には、自分の症状を軽く見積もる傾向がある人が少なくない。患者さんの自己評価をまとめたある調査によると、成人も子供も8~9割の人が自分の喘息を「コントロールできている」と答えているが、実際には、半数以上が日中の発作や夜中に目覚めるといった症状を自覚し、日常生活に支障をきたしているという。喘息の患者さんの多くが、無意識のうちにつらい症状を我慢しているわけだが、その症状はもっと楽になる可能性がある。喘息と上手に付き合うために、症状を正しくチェックすることが欠かせない。
このアンケートは、喘息でお悩みの12歳以上の方が自分自身の喘息の状態を知るために役立ちます。以下の5つの質問にそれぞれ1つだけチェックをつけてください。結果については必ず担当の医師と話し合ってください。
QualityMetric Incorporated, 2002.
喘息患者の7割は、喘息症状を「仕方がない」とあきらめてしまっているという。喘息は完治することは難しいが、適切な治療と患者自身の自己管理で、ごく普通の生活が営めるようになるまでコントロールできる病気。根気強く続けていこう。
「喘息予防・管理ガイドライン2009」より
喘息の状態を把握する指標、および発作の予知に役立つものとして、「ピークフロー」がある。これは、息を勢いよく吐き出したときに息が流れる速度のこと。喘息によって気道が狭くなっていると空気が通りにくいため、ピークフローは標準値より低くなる。 ピークフローは、ピークフローメーターと呼ばれる簡単な器具でいつでも手軽に測定が可能。毎日決まった時間に測定することで、気道の状態を把握することができる。さらに喘息の悪化や薬の効果もいち早く知ることができるため、突然の発作にも適切に対処できる。日ごろからピークフローを測定し、日記をつけ、治療に役立てよう。