疾患・特集

膝、肩、腰…関節のつらい痛みはなぜ起こる?

関節の構造はどうなっているの?

私たちが体を動かすためには欠かせない部分、「関節」。骨と骨をつないでいる部分のことだが、実は関節では直接骨と骨はぶつかっていないのだ。
関節の骨と骨のすき間を埋めているのは、やわらかくて弾力性のある「関節軟骨」と、「滑膜(かつまく)」という薄い膜から分泌される「関節液」。これが、潤滑油の役割を果たし、私たちは関節をスムーズに動かすことができるのだ。

関節の構造

関節痛の原因とは?

関節の中でも、特に痛みを起こしやすいのが膝。体重を支えながら、立ったり歩いたり、階段を昇ったり降りたりするので、大きな負担がかかるからだ。
とはいえ関節痛を引き起こす原因はいろいろある。痛む場所や、痛み方、年齢によってもその症状はさまざまだ。もし関節に痛みを感じたら、まずは安静にし、早めに専門医である整形外科で受診しよう。

関節痛を起こす代表的な病気

病名 症状や特徴
変形性関節症関節の軟骨がすり減ったために、痛みが生じる病気で、一番多いのは膝(変形性膝関節症)。膝が痛む病気としては最も多い。
慢性関節リウマチ免疫反応の異常により、全身の関節が炎症を起こす病気。関節の滑膜に炎症が起こり、そこから出る物質が関節軟骨や骨を破壊するため、関節が変形する。朝に手や指がこわばって動かしにくいのが症状の特徴。
肩関節周囲炎一般的な呼び名は「五十肩」。老化などにより、腕を支える筋肉が衰えて炎症を起こす。特に腕を上げる動作などで痛みを感じる。
化膿性関節炎関節に細菌が入り込んで化膿し、炎症を起こす。関節が赤く腫れて熱をもち、痛みも徐々に強くなる。
大腿骨顆骨壊死膝の上側の骨(大腿骨顆骨)の一部が壊死して、強い痛みが起こる。50歳以上の女性に多く、症状が変形性膝関節症に似ている。
痛風関節に尿酸が溜まることで炎症を起こす。まず足の親指の付け根に起こることが多い。中高年の男性に多い病気。

コラム:膝にかかる負担はどのくらい?

特に痛みを起こしやすいのは膝。それもそのはず、膝関節は、歩行時には約60度、しゃがむ動作は約100度、正座では約140度と広い範囲の曲げ伸ばし運動を行っている。また、かかる負担も大きい。平地歩行時には体重の約2~3倍、階段昇降では約4倍、走ったりするときには約6倍もの力が膝にはかかっている。