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生活習慣病と関係?活性酸素のリスクQ&A

体内で活性酸素が発生すると老化や病気が促進される。日本人の3大死因ともいわれるガン、心臓病、脳卒中にも活性酸素の害が影響していると言われている。

病気や老化にも、活性酸素が関係

人間をはじめとする多くの生物は酸素を体に取り入れ、エネルギーを生み出して生命をつないでいる。しかし、酸素の一部は凶暴な「活性酸素」に変貌し、体に悪影響を及ぼしてしまう。活性酸素による害は、細胞が「酸化」され、本来の性質が変えられてしまうことによって引き起こされる。これは、鉄くぎが酸化して(さびて)ボロボロになるのと同じこと。活性酸素によって変わってしまった細胞は本来の役割を果たさなくなったり、体にとって有害なものに変身してしまうのである。

病気や老化にも、活性酸素が関係しているが、日本人の3大死因にもあげられるがん、心臓病、脳卒中などの生活習慣病も、活性酸素の影響を色濃く受けていることをご存じだろうか?下のQ&Aで代表的な生活習慣病との関連について紹介しているので、参考にしてみよう。

太り過ぎると活性酸素のリスクが増えるって本当?

糖尿病など、さまざまな生活習慣病との関連が指摘される肥満。肥満になると活性酸素によるリスクが増えてしまう。これは、体積が増えることにより、体中にはりめぐらされる血管も多くなるためである。活性酸素は血流とともに全身の組織に送られるため、血管が多ければ多いほど、活性酸素にさらされる面積が増えてしまうのである。
とくに、腹部の内臓に脂肪がついた「内臓脂肪型肥満」(いわゆるリンゴ型肥満)の場合、心臓病、脳卒中、高血圧などの循環器疾患を発症したり、エネルギーの代謝に異常があらわれて糖尿病などの疾患になりやすい傾向もある。

活性酸素が増えるとがんになりやすいのはどうして?

私たちの細胞には、細胞の性質が書き込まれた遺伝情報をもつDNAがあり、細胞が分裂・再生することで、組織の細胞から細胞へと同じ遺伝情報が伝えられている。しかし、このDNAがなんらかのきっかけで損傷されると、遺伝情報にも狂いが生じ、間違った遺伝情報をもった細胞が増殖してがん化してしまうのだ。

このDNAの損傷に関わるのが「発がん物質」であり、代表的なものには発がん遺伝子を持つウイルス、食物、たばこなどがある。これらの物質が大量に体内に入ると活性酸素の発生量が増え、DNAに傷をつくるきっかけをつくってしまうのである。したがって、がんを防ぐためには、発がん物質を体内に入れて活性酸素をつくらせないよう心がけることが大切だろう。

血管が活性酸素の被害にあうと、どんなリスクがあるの?

血管壁の内側にたまり血管がせまくなる

心臓病、脳卒中、高血圧などの循環器疾患を引き起こすのが、動脈硬化。この動脈硬化も、活性酸素の害により変性されたために起こるものである。
動脈硬化を防ぐために「悪玉コレステロール」(LDL)を少なくしよう、とよくいわれるが、LDL単独ではそれほど大きな害はない。なぜなら、動脈硬化は血管の内膜に入り込んだLDLが活性酸素によって酸化され、酸化LDLを食べたマクロファージ(白血球の仲間)が脂肪を内包した泡沫細胞となり、内壁に付着することによって引き起こされるからである。 動脈硬化を防ぐためにはLDLを少なくするとともに、活性酸素を減らす努力をすることも必要なのかもしれない。

公開日:2004年6月14日