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正しい診断・治療のために−正常圧水頭症研究会より


2004年1月、特発性正常圧水頭症のガイドラインの内容や、診断・治療の方法について、専門医たちによる活発な意見交換が行われた(第5回日本正常圧水頭症研究会)。この研究会で関心が集まったことにスポットをあて、今後の診断・治療がどうなっていくのか、どうしていくべきか、という医師たちの考えや取り組みについての情報を紹介しよう。


特発性正常圧水頭症ガイドラインの作成

西宮協立脳神経外科病院 院長 三宅 裕治先生
第5回日本正常圧水頭症研究会会長
西宮協立脳神経外科病院
院長 三宅 裕治先生
「ガイドライン」というと、法律や規則のように厳しい決まりを想像する人もいるのでは?しかし、この特発性正常圧水頭症ガイドラインは医師たちの診断や治療方針を束縛するものではないという。では何のために今、作成されたのだろうか?

その背景には、これまで診断の決め手となる基準がなかったために、診断・治療における病院間の格差が非常に大きい、という特発性正常圧水頭症の現状がある。 一定の基準となるガイドラインを普及させることで、すべての患者が適切な診断・治療を受けられるように、という医師たちの願いが込められているのだ
もちろん、ガイドラインに縛られた定型的な治療を目指しているわけではない。特発性正常圧水頭症は、実際に手術をしなければ、どの程度まで症状が改善するのかがわかりにくい病気。また、患者は高齢であることが多いので、手術に対する不安も大きいだろう。だからこそ、患者や家族の要望にもしっかりと耳を傾けて治療方針を決めたい、という考えが、このガイドラインの前提となっているようだ。

今後、このガイドラインを実際の医療の現場に照らし合わせ、問題点を明確にしながら改定を重ねていき、より良いものにするための努力も続けるという。


高まる期待−より良い診断・治療に向けた取り組み

特発性正常圧水頭症の診断と治療には、まだまだ不明な点や課題も多く残されている。研究会では、それらの課題を克服するための研究結果が、専門医たちから報告された。

新しい診断方法の試み

活発な意見交換が行われた研究会の様子
活発な意見交換が行われた
研究会の様子
ガイドラインも推奨する診断方法「髄液タップテスト」の最大の問題点は、「陰性の場合でも手術による症状改善の可能性がある」ということ。研究会では、この点をどうカバーし、手術で改善する患者を確実に見つけ出すかということに、話題が集まった。

急速に進歩しているCTやMRIなど高度な画像診断を使って、手術の適応や効果判定をする方法が提案され、注目を集めた。また、歩行動作をビデオに録画して詳しく解析することで、パーキンソン病など他の病気との区別や症状の変化をより正確に捉えるなど、新たな診断方法も多数発表された。いずれもまだ診断方法として確立されてはいないが、今後の研究に期待が高まっている。

より良い治療のために

シャント術では、患者の状態に合わせて髄液の排出量を適切な状態に保つことが大切だ。これまでは、この排出量調節を設定するための目安がなかったため、設定方法は医療機関によってまちまちであったという。この点を改善するために、患者の身長、体重、性別などから設定値を割り出した早見表が提案され、大きな注目が集まった。
この方法が確立されれば、手術後のリハビリ開始が早まり入院期間が短縮されるなど、患者側のメリットも大きいと期待される。そのほか内視鏡や薬物療法など、シャント術以外の治療の試みも報告された。

病気の根本的な原因を探る

特発性正常圧水頭症はなぜ高齢者に多いのか?その原因はまだ不明。その根本的な原因を探るため、髄液中のたんぱく質を詳しく解析するなど、最先端技術を取り入れた様々な取り組みも積極的に行われている。


まとめ

研究会の様子、三宅先生がお話されている様子 高齢社会が急激に進む今、認知症や歩行障害は多くの人にとって身近な問題となっている。これらの症状は「年のせいだから」とか「病院に行ってもどうせ治らないし」などと考えて、治療をあきらめてしまいがち。しかし、これまで紹介してきたように、手術で症状が改善する可能性もあるので、まずは専門医を訪ねてみて欲しい。
医師たちもまた、患者やその家族と同じように、日々事例を重ねながら、より良い診断・治療を模索しているのだ。病気を抱える患者や家族も、こうした医師の姿勢を受け入れ、互いに協力しながら病と闘うという意識を持つことが、より良い診断・治療の実現への第一歩になるだろう。

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