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人間のエンジン「心臓」の病気ってどんなもの?

見出しなぜ増えている?心臓病

近年、心臓病の患者が増えているのをご存知だろうか?現在、日本人の死因の1位はがん、続いて2位は心臓病(心疾患)、3位は脳血管疾患となっている。しかし、数年前までは、心臓病よりも脳血管疾患で亡くなる人のほうが多かったのだ。ここ数年、脳血管疾患での死亡者数は減少してきているのに対し、心臓病で亡くなる人は毎年約14万人と増加傾向にある。

なぜ、心臓病は増えているのだろうか?その一因としてライフスタイルの欧米化が指摘されている。心臓病のなかでも、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患は、長年にわたる不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が大きく関わっている。多くの欧米諸国で死因の第1位が心臓病であることを考えると、日本人も動物性脂肪をたくさん摂るなど食生活が欧米化していることが、心臓病患者が増加したことの大きな要因であると考えられているのだ。

さらに、以前は心臓病といえば、50代、60代の高齢者がなる病気というイメージがあったが、最近では30代、40代でも虚血性心疾患になる人が増えている。また、食生活の欧米化の影響などを考えると、現代の子供たちが成人するころには心臓病の患者数はますます増加するだろうと危惧されているのだ。近い将来、10代20代でも虚血性心疾患が日本人の死因上位になるかもしれない。
心疾患の死亡者数と死亡率
心疾患の死亡者数と死亡率
出典:厚生労働省「人口動態統計」

見出し心臓病で亡くなる人の約半数が「虚血性心疾患」!?

心臓がポンプのようなはたらきをするために、心臓の筋肉(心筋)に栄養や酸素を運んでいる血管に動脈硬化が起こり、血流が悪くなって起こる障害を「虚血性心疾患」という。心臓病で亡くなる人の約半数がこの虚血性心疾患である。虚血性心疾患には、「狭心症」と「心筋梗塞」がある。

狭心症と心筋梗塞の違いは、狭心症は酸素不足の状態が一時的で回復するのに対し、心筋梗塞は血栓などで心臓のまわりに巻きついている冠状動脈が完全に閉塞し、その先の血流が途絶えて心筋が壊死を起こしてしまう。一度死んでしまった心筋は回復しないため、心臓に大ダメージを残してしまうのだ。
狭心症と心筋梗塞
狭心症
どんな病気? 冠状動脈のどこかが狭くなり、心筋に血液が十分流れなくなると心臓に必要な血液を得ることが難しくなる箇所ができる。その部分が酸素不足に陥り、胸痛、圧迫痛、動悸、息切れなどの症状を起こす病気。昼間、何かの動作によって起こる場合を労作性狭心症といい、夜間、ことに早朝の安静時によく起こる場合を異型狭心症と言う。
主な症状 労作性狭心症は、階段を駆け上がるなど何かの動作に伴って痛みが起こる。一般的には胸の中央が痛むが、人によってはのどや下顎、歯、耳などが痛むことも。痛みは「ぎゅっと締めつけられるような」「圧迫するような」「焼き火箸で胸をかき回されるような」などと表現されることも。発作は1〜10分程度でおさまることが多い。また、異型狭心症の場合は、1日のうちで決まった時間帯に発作が起こる傾向がある。
発作が起きたら? 発作が起きたらまずニトログリセリンやニトロールなどを舌下頓服すると、1分くらいで効き目が現れる。
治療法 労作性狭心症の場合は、心臓の仕事量を減らしたり、心臓の筋肉への酸素供給量を減少させるような内科的治療や、大動脈ー冠動脈バイパス術、冠動脈形成術のような、冠動脈を流れる血液量を増やすための外科的治療が行われる。大動脈ー冠動脈バイパス術では、開胸する必要があるが、冠動脈形成術は胸を開けることなく皮膚の上から血管を突いて行えるため、患者に与える負担は少ない。

心筋梗塞
どんな病気? 心臓をとりまく冠状動脈のどこかが極端に狭くなったり完全に詰まってしまった場合に起こる病気。そこから先の部分には、血液が行かなくなり、心臓の筋肉が死んでしまう。冠状動脈が閉塞する原因は、血管壁に付着したアテローム(粥状硬化)によって狭くなったり、アテロームの破裂による血栓の形成などである。
主な症状 何の前ぶれもなく急に発作が起きる。胸が焼けるような激しい痛みに襲われ、その痛みは30分以上と狭心症より長く続く。あぶら汗、呼吸困難、冷や汗が出て、死ぬかもしれないという恐怖感を伴うことも少なくない。痛みの程度も一般的に狭心症より強い。
発作が起きたら? ニトログリセリンやニトロールは無効か、効果があっても不十分。激しい胸の痛みを感じたら、一刻も早く救急車を呼び、医師の診察を受けること。
治療法 狭心症の場合と同様に、冠動脈の閉塞・狭窄した部分をカテーテルを使って拡張する血管内の手術(経皮的冠動脈形成術)や冠動脈バイパス術などの外科的治療が行われる。冠動脈形成術では、風船やステントと呼ばれる金属などを使って血管の内腔を広げる。

見出し知っておきたい主な心臓病

虚血性心疾患は心臓病の代表のようなものだが、その他にもさまざまな心臓病がある。その主だったものを紹介しよう。
主な心臓病
心筋炎 心臓に風邪などのウィルスが付着して、炎症や過度の反応を起こす病気。風邪の症状が起こってから1〜2週間後に発病することが多く、軽ければ自覚症状はない。多くの場合は、発熱、咳、頭痛、だるさなど、風邪のような症状が先行するため、気がつかず見過ごしていると心筋の細胞破壊がどんどん進んでしまい、不整脈や心不全の原因をつくることになる。
心臓弁膜症 心臓がポンプのような役割を果たす時に、血液の逆流を防ぐために心臓についている弁の開きが悪くなって、血液が心臓の部屋から出て行きにくくなったり(弁狭窄症)、弁の閉じ方が悪くなって血液が逆流してしまう(弁閉鎖不全症)病気。
心膜炎 心臓を包み込んでいる心膜が炎症を起こす病気。心膜が急性に炎症を起こしたものを急性心膜炎、急性心膜炎や心筋梗塞の心破裂、外傷により心膜に急激に心膜液や血液が溜まってしまうものを心タンポナーデ、心膜炎が原因で心膜が固くなり、慢性の心臓拡張不全を起こすものを慢性収縮性心膜炎という。
心内膜炎 細菌が血流によって心臓に入り、異常のある部分や弁に付着して繁殖し、発熱を引き起こす、たちの悪い病気になる可能性がある。心臓弁膜症の患者は、かかりやすい。

見出し心臓からの危険信号「不整脈」を見逃すな!

心臓の図心臓はポンプのように膨らんだり縮んだり(これを拍動と言う)して全身に血液を送っている。その回数はなんと1日10万回!もあるのだ。そのリズムは、右心房の上部にある「洞結節」という特殊な心筋細胞の集まりから心臓に出される電気刺激によって作られている。洞結節で発生した電気的興奮は、洞結節→心房→房室結節→ヒス束→右脚・左脚に分かれる→プルキンエ線維→作業心筋 という順に伝わり、作業心筋に伝わると電気的興奮が起こって収縮という現象を起こす。洞結節から出される刺激は1分間に約60〜100回。これが、正常な順序で伝わっていくメカニズムを正常同調律と言う。その正常同調律以外の心臓のリズムすべてを不整脈と言うのだ。

不整脈のすべてが悪いのかというと、実はそうとも言えない。不整脈の多くは気にしなくていいものだが、血圧の低下、冷や汗、胸の違和感や苦しさ、目の前が暗くなるなどの症状を感じる時には要注意。ひどい場合には、意識がなくなり、失神を起こすこともあり、生命に関わる危険性もあるからだ。
自覚症状を感じたり、健康診断などでとった心電図によって不整脈が発覚したら、一度は専門医の診察を受けよう。
主な不整脈の種類
期外収縮 心房や心室など、洞結節以外で命令が起き、早めのタイミングで収縮するために脈が余分に打ったり、心臓が十分に収縮できず脈がとんだように感じるもの。不整脈のなかで最も多くみられる。
頻脈性不整脈 1分間に100回以上の電気的興奮が起こるもの。主な原因としては、電気的興奮が一定の同じ場所をぐるぐる旋回する(リエントリー)と考えられている。代表的なものとして、洞性頻脈、心房頻拍、発作性上室性頻拍、心室性期外収縮、心室細動などがある。
徐脈性不整脈 1分間に60回以下の電気的興奮しか起こらないもの。電気的興奮が起こらなかったり、電気的興奮が通らない場合に起こる。代表的なものとして、洞不全症候群、房室ブロックなどがある。

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