「不自然なのでは?」と敬遠してしまう増毛やかつら。最近の技術革新では人工毛と人毛はほとんど区別できないほど。また、女性も年齢とともに髪の悩みが変わってくる。女性用部分かつらの情報も紹介。
毎日の生活習慣にも気を配っている。育毛も続けてみた。それでも…と悩んでいるなら、思い切って増毛やかつらを利用してみては?今はかなり精巧なものが出てきているので、昔のイメージと違ってかなり自然に見える。
増毛とは自毛を生かしながら人工毛を使って毛髪量を増やすこと。自毛の根元に人工毛を結着していく方法や、薄くなった部分に増毛素材の網目を固定し、ブラシで地毛を引き出してミックスする方法など、各段階のスタイルや毛量に応じていろいろな方法を選べる。
一方、かつらには薄毛部分につける「部分かつら」と頭部全体をおおう「全かつら」がある。人工毛の植えられた人工皮膚やネットを、ピンやテープ、接着剤で止めて使用する。
「人工毛~!?それって不自然じゃないの?」と思うなかれ。
最近の人工毛は、飛躍的に向上しているのだ。例えば表面をキューティクル状に加工を施すことで自然な髪の光沢を作り出すことにもできるようになった。さらにコーティング処理を工夫して静電気を抑えるなど、人毛と見分けがつかないほど精巧なものが登場している。また人工毛には「清潔で臭いがつきにくい」、「手入れが簡単」、「軽い」といった人毛にはないメリットもある。
髪の悩みは男性だけではない。女性でも年代によって髪の悩みが変わってくる。特に40歳を過ぎると女性ホルモンが減少したり、加齢によって細胞のはたらきがにぶくなることで髪1本1本が細くなり始める。これが「髪の曲がり角」の兆候だ。髪が細くなり、ハリ・コシが失われると髪の量が変わらなくてもボリュームがなくなったように感じられる。
さらに、40代後半になると女性の頭皮の皮脂量も減少し始める。頭皮の血行が悪くなることが原因だが、これは髪の成長に必要な栄養も十分に行き渡らなくなっている状態でもある。
このように、肌や体型と同じく髪にも年齢とともに少しずつ変化が訪れるもの。
つややかな髪を保つには育毛剤を使う、地肌マッサージをするなど髪だけではなく頭皮のケアから考え直すことが大切だ。
また、最近では女性用の部分かつら(ウィッグ)も登場。髪にもう少しボリュームがほしいときなどに自毛となじませて使うものだが、中高年の女性に少しずつ受け入れられ始めているとか。
東洋医学では「髪は血餘(けつよ)」と言われ、髪と血液は切っても切れない関係にある。食べ物が血液となり、体の中に栄養と酸素などを運んでいくので、質・量ともに十分な血液でないと髪まで栄養が行き届かない。また、髪の毛を作り出す毛母細胞は、常に大量のエネルギーを必要としているので、栄養不足の状態では健康な髪は育たない。無理なダイエットをすると髪までやせ細ってしまう。毛髪を作るたんぱく質やビタミン類、ミネラルなどを毎日の食生活できちんと摂るようにしたい。
栄養素 | おもなはたらき | 多く含む食べ物 |
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たんぱく質 | 含まれるアミノ酸が髪の成分「ケラチン」をつくる | 肉、魚、豆腐、卵、牛乳など |
ビタミンA | 皮膚や粘膜を健康に保つ | ニンジン、うなぎ、にら、レバーなど |
ビタミンB群 | 頭皮も含めた体全体の新陳代謝に役立つ | 玄米、豚肉、レバー、マグロ、納豆、チーズなど |
ビタミンC | 血管を丈夫にして血行促進に役立つ | カリフラワー、小松菜、ブロッコリー、みかん、イチゴなど |
銅 | たんぱく質の結合を強化 | 牛レバー、カキ、イカ、ひじき、ごま、煮干など |
ヨウ素 | 新陳代謝を高め、髪の発育にも効果がある | ワカメ、コンブなど |
亜鉛 | 毛母細胞の活性化にはたらきかけ、髪の成長を促進する | カキ、サンマ、ほうれん草、牛肉(もも)など |
コラーゲン | 肌や髪のツヤを保つ | 納豆、長いもなど |
どれも健康のために必要なことばかり。当たり前だが、「体にいいことは髪にもいい」のである。日常生活の中で、できることから早速始めてみてはいかが?
アートネイチャー広報グループ
菅谷健一氏
増毛やかつらを使う場合、ご注意いただきたいことは、ご自宅でのメンテナンス方法です。増毛方法によって取扱方法も異なります。また自身のライフスタイルに適した増毛方法をお選びになる際は、ぜひサロンとじっくり話し合ってください。
日本の増毛・かつらの技術は世界の中でもかなり高く、ミクロの世界での技術革新を繰り返しています。最近ではハリウッドの技術を応用したわずか0.13ミリという薄さのベースネットの開発に成功しています。皮膚となってなじむような感覚をもった新しい増毛方法も誕生しています。これをきっかけに「かぶる」「つける」といった感覚から、より自然に「なじむ」といった皮膚感覚の増毛へ、さらに進化していくと思います。