ヒトはなぜ音楽で癒されるのでしょうか?そのメカニズムには生体と音にあるゆらぎが大きく関係しています。
大きくなったり小さくなったり、強くなったり弱くなったりする連続的だけど、一定ではない揺れのことを「ゆらぎ」という。じつは、この「ゆらぎ」に心が安らぐ秘密があるのだ。
ゆらぎに含まれる波動をf(周波数)という記号で表すと、人の生体リズムや自然界には、1/fというゆらぎがあるという。
例えば人の心臓の鼓動には1/fゆらぎがあり、川のせせらぎや虫の声などにも1/fゆらぎがある。そのお互いの振動が共鳴すると、美しいと感じ、和ませてくれるのだ。
ゆらぎには大きく分けて3種類の性質がある。
波動はそれぞれパワー(強度)を持っており、そのパワーとゆらぎのf(周波数)との関係をグラフにしてみると、
1/f0は、刺激性の強い音のもの。例えば、地震や山崩れ、激しい音楽など。また、非常に規則的でゆっくりしすぎている音が1/f2。時計の秒針や機械的な電子音などがこれにあたる。
あまりに激しい音楽は脳が疲れてしまうし、あまりに単調なら、眠たくなってしまう。つまり、心や体にとって、ちょうどいいのは、その中間である1/f1ゆらぎになるというわけだ。
参考文献:「音楽は驚異の『聴くクスリ』」 渡辺茂夫著 PHP
リラックスしているときの脳波は「α波が出ている」などとよく言われる。これは、脳から出ている脳波はその心身状態によって異なり、とくにリラックスした気持ちでいる時の脳波がα波である、というわけだ。クラシック音楽を聴けば、必ずα波が出る、とは言えないが、出やすいことは確かなようだ。
1/fゆらぎとの直接的な関係も、はっきりしたことはわかっていないが、α波が安らぎの一つの指標になっているようだ。