疾患・特集

温泉は総合医

温泉に入るなら、まずは温泉がなぜ体にいいのか知っておきましょう。温泉の効果を利用して病気の治療をしている病院だって、本当にあるんです。

気になる症状を多角的に癒してくれる

「ときどき胃が痛む」と病院に行けば、まず内科に回されます。現代の病は、環境、心、体と複合的なものが多くみられますが、現代医学は専門制が進んでおり、病院に行けば診てもらえる、解決するわけではないときもあります。温泉なら体の不調をトータルで癒すことができるのです。

トータルで効く温泉の秘密

温泉三昧

●化学効果

温泉の中には炭酸ガスやナトリウム、硫黄、硫酸マイナスイオンなどいろいろな物質が溶け込んでいます。これらの成分が皮膚からしみこみ、体によい効果を与えます。

●環境効果

温泉の多くは海岸や山の中、自然豊かな環境にあります。日々の生活環境から離れ、自然の中でゆっくり過ごすことで、心の疲れを癒すことができます。

●反復入浴効果

熱い温泉につかると皮膚の汗腺や皮脂線が開き、汗や脂肪が洗い流されて新陳代謝がスムーズに行われます(温熱作用)。一方ぬるめの温泉は、副交感神経が刺激されてリラックスできます。

温泉の知恵

お湯の中では、ウエストが3~5cmくらい細くなります。なぜなら、体に水圧がかかるから。これはマッサージ効果などといわれていますが、外側だけでなく内側にも効果があります。例えば肺が圧縮されて呼吸運動が活発になるなどです。

もちろん、家のお風呂にも同じ作用がありますが、温泉といえば1日数回お湯につかるのが醍醐味…という人も多く、繰り返しつかることで効果が高まることになります。

温泉医学

実のところ、このような温泉の効果を病気の治療に生かしている医師、病院も多いようです。一般的に温泉治療、温泉療法と呼ばれています。

この歴史は意外と古く、昭和6年、別府温泉に九州大学温泉治療研究所(現・生体防御医学研究所)が作られたのが始まりとされています。翌年には専門学会(現・温泉気候物理医学会)も結成されました。

温泉療法といっても、ただただ温泉につかるだけではありません。したがって、頼りにする医師が温泉医学を習得しているかは必ずチェックしましょう。日本では「温泉気候物理医学会」が、温泉認定医、温泉療法医を認定しています。

温泉療法を行っている病院(温泉病院)は数多くありますが、多くは交通事故などのリハビリやリウマチなどの病気を対象としています。したがって、治したい病気の温泉療法をしているかどうか、あらかじめ問い合わせてみたほうがいいでしょう。