「腐った牛乳」と「ヨーグルト」は何が違うのでしょうか?ヨーグルトといえば乳酸菌ですが、乳酸菌で発酵させた食品は、実は世界各国に古くからあります。材料も、牛乳のほかにいろいろと使われています。
牛乳というと、なんだか「腐りやすいもの」といった印象はありませんか?ところで「腐った牛乳」と「ヨーグルト」は、どう違うのでしょう。その答えは簡単です。牛乳に入り込んで増えた細菌が、乳酸菌なのか、腐敗菌なのかの違いです。
そもそも「ヨーグルト」とは、牛乳に乳酸菌を入れて発酵させたものです。
そして乳酸菌には以下の通り、いろいろな種類があります。
「乳酸菌」というと、すぐブルガリア・ヨーグルトが思い出されるかもしれませんが、乳酸菌で発酵させたものは、実は世界各国に古くからある「智恵」の食品です。材料も、牛乳のほかにいろいろと使われています。
名前 (国・地方) |
材料 | 特徴や食べ方 |
---|---|---|
イメール (スカンジナビア諸国) |
牛乳 | 酸味が強く、スプーンですくうと糸を引くようにのびます。コーンフレークにかけて食べるなど。 |
ヨーグルト (ブルガリアなど) |
牛乳 | 「キセロ・ムリヤコ=酸っぱいミルク」という意味を持つヨーグルトです。サラダ、スープ、シチューなど。 |
レバン (サウジアラビアなど) |
ラクダの乳 | 水で薄めて、ゆっくりと味わいながら飲みます。 |
ドゥグ (アフガニスタン) |
牛乳 | そのまま飲む、スープにするなど。また固めたり(チャカ)、干したり(クルート)したものもあります。 |
ケフィア (コーカサス地方) |
牛乳 | 乳酸菌だけではなく、酵母のはたらきも利用したものです。「ヨーグルトきのこ」として一時流行しました。 |
ダヒ (インド) |
水牛や山羊の乳 | カレーに混ぜたり、添えたりします。「ラッシー」というヨーグルトドリンクで飲むなど。 |
タラク (モンゴル) |
牛・馬・羊・山羊・ラクダの乳 | モンゴルでは、さまざまな乳を利用し、さまざまな食べ方・飲み方をしてきました。ほかにアルコール発酵させた「乳の酒」などもあります。 |
日本でも、飛鳥時代から奈良時代にかけ、健康を保つ滋養強壮、あるいは美容の「秘薬」として「酪(らく)・酥(そ)・醍醐(だいご)」という発酵乳が朝廷で食べられていました。「酪(らく)」はヨーグルトのようなもの、「酥(そ)」はバターに近い、ヨーグルトを濃縮したようなもの、「醍醐(だいご)」はチーズのようなものと推定されています。
平安時代に書かれた日本最古の医学書「医心方」には、これらの乳製品の効能として「疲労回復」「便秘解消」「美肌」などが書かれており、古くより、その効果が認められていたことがわかります。