尿の検査では腎臓や膀胱の異常のほか、糖尿病、肝臓病、膠原病、骨髄腫、悪性腫瘍などを発見できます。尿検査の結果とその異常により疑われる病気について紹介します。また、その改善のための注意点も紹介します。
尿検査は一般検査の中心で、尿中の各種細胞、たんぱく、糖などによって体の基本情報をさぐります。腎臓が、血液によって体中から運ばれてきた不用物を余分な水分とともに排泄するのが尿です。従って、体のどこかに異常があると、排泄されるべきものがされていなかったり、排泄してはいけないものが尿にまじってしまったりします。
尿の検査は、腎や尿路の疾患を発見するのが第一目標ですが、こうしたことからそのほかの器官の機能を知ることもできるのです。具体的には、腎臓や膀胱の異常、糖尿病、肝臓病、膠原病(こうげんびょう)、骨髄腫、悪性腫瘍などを発見する手がかりとなります。
尿の検査は約2400年もの昔、ヒポクラテスの時代から病気を知る手がかりとして、その色や臭い、量の異常が観察されてきました。
今も尿の観察・分析の重要性は変わっていません。では現代の尿検査はどのようにしているのでしょうか?
検査方法 | 尿の量や色、臭い、比重など、尿そのものについての観察 |
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見つかる異常・病気 | 腎不全、慢性腎炎、悪性腫瘍、糖尿病、心不全など |
検査方法 | 尿を遠心分離器にかけて採取した沈殿物を顕微鏡で観察 |
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見つかる異常・病気 | 尿路結石、尿路腫瘍、尿路感染症など |
検査方法 | pH、たんぱく、糖などの12項目を分析器で検査 |
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見つかる異常・病気 | 腎臓の異常、糖尿病、腎性糖尿、ネフローゼ症候群など |
さて、あなたの尿は何を語っているのでしょうか?尿にも生活習慣病をチェックできる数値がたくさんあります。
※注:検査の数値はあくまでも「めやす」です。自分の結果が正常値になかったからといって、すぐにその病気であるとは限りません。正常値自体も医療機関によりバラつきがあります。不安があれば必ず、詳しく調べるようにしましょう。
項目 | - | - | 異常で疑われる病気 |
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尿たんぱく | - | 正常 | 腎炎、腎硬化症、尿路結石など尿路系の異常 |
± | |||
+ | 異常 | ||
尿潜血 | - | 正常 | 腎臓・尿路系の炎症や腫瘍 |
± | |||
+ | 異常 | ||
尿糖 | - | 正常 | 糖尿病、腎性糖尿、内分泌疾患、肝疾患、神経疾患 |
± | |||
+ | 異常 | ||
尿ウロビリノーゲン | + | 正常 | 肝臓障害、溶血性黄疸、閉塞性黄疸 |
± | |||
- | 異常 |
たんぱく質は人間の生命活動には欠かせない大切な栄養で、正常であれば腎臓できちんと吸収され、尿に出る量はほんのわずかです。しかし、腎臓に何らかの問題が発生している場合、もれ出してしまいます。
尿糖もまた、エネルギー源として血液中に再吸収されるものですが、体に異常が起き、血糖値が限度を越えると腎臓からもれ出してしまいます。
尿に含まれ運ばれる体の内部の情報。尿は健康メッセンジャーです。しっかり、その教えをキャッチしましょう。