疾患・特集

危険!脳の栄養失調

生活習慣病のひとつとも言われるようになった心の病。たくさんの食べ物に囲まれている現代だが、心は栄養失調となり人間にふさわしくない食卓となっているのかもしれません。「食」において、何が脳・心にとって大切なのでしょうか?

昔の食生活に学ぶ

  • ●雑食になろう
    人間がほかの動物と極めて違う点は、さまざまな種類の物を食べるということ。多様な栄養素を取り込んで脳へ送り、その結果、脳は複雑に進化した。また色々な物を食べるための工夫が、さらに人間を進化させたのです。
  • ●偏食はだめ
    食べたい物だけを食べ、食べなければならない物を食べない生活では栄養素が偏り、脳もうまくはたらきません。
  • ●しっかり噛む
    脳に送られる刺激の50%は、顔、特に口を動かすことから。従って、よく噛んで刺激を脳に送ることが活発な心を作ります。
  • ●一人で食べない
    人間は「一匹狼」にはなれない動物です。家族や友達と食事をしましょう。話しながら食べること、それが一番心安らぎます。
  • ●朝食を食べよう
    脳は夜も活動を続け、朝には飢えて、ボーっとしています。脳のエネルギー源・ブドウ糖は、ほとんど体に蓄積できません。だから朝食でチャージします。

心・脳に大切なのは?

では、現代の生活と照らし合わせてみて、不足している、あるいはより意識的にとった方がいいものは何でしょうか?

ビタミン

ビタミンA、C、そしてB群(B1、B2、B6、B12)などが重要です。A、Cは体と心をストレスから守ってくれます。そしてビタミンB1は、体の中でブドウ糖をエネルギーに変える酵素のサポートをすることで、脳内物質の代謝を良くし、心を落ち着かせます。不足すると神経伝達物質セロトニンが少なくなり、脳のはたらきが鈍くなる、集中力に欠ける、すぐカッとなる、体がダルくなりイライラする、気分がふさぐ、不安になるということにつながるようです。

ミネラル

カルシウム・マグネシウム・鉄分が精神に関わります。カルシウムは神経の鎮静作用をもたらします。しかし、加工食品に多く含まれるリンと結び付きやすく、リンが過剰になるとカルシウムと結合しリン酸カルシウムとして体外に排泄されてしまいます。貴重なカルシウムがますます減ってしまうことに…。加工食品が良くないというのは、こういうところにも原因があります。マグネシウムは、不足すると無気力や集中力の低下につながります。鉄分は不足すると、貧血による疲れ、ボーっとする、気力がなくなります。

食物繊維

ご存じの通り食物繊維は、それ自体に栄養がありません。しかし、脳や心にとって有害な物質に囲まれている現在、それらを腸から吸収される前に排出してしまう食物繊維の任務はとても重要です。それでなくとも、便秘になれば誰だってイライラしたり、ボーっとするなど集中力が低下します。また、いわゆる食物繊維を含んだ食品は現代では摂取しにくいビタミンやミネラルを含んでいることが多いのでおすすめです。

心・脳に大切な栄養素が含まれる食品たち

上にあげた3つの栄養素を含む、具体的な食品は以下の通り。毎日の生活の中で美味しく食べるようにしましょう。

ビタミンB1玄米、豚肉、ピーナッツ・小豆などの豆類、しいたけ、にんにく、緑黄色野菜、牛乳
ビタミンB2レバー、肉、卵黄、緑黄色野菜
ビタミンB6レバー、肉、魚、牛乳、卵、豆類
ビタミンB12レバー、肉、魚、緑黄色野菜
ビタミンA緑黄色野菜、うなぎ
ビタミンC野菜類、柑橘類などの果物
カルシウム牛乳、チーズ、小魚、小松菜、大根葉、ひじき、干しえび
マグネシウム玄米、ワカメ、昆布、大豆製品、ほうれん草、イワシ
鉄分レバー、小松菜、ほうれん草、ひじき、海苔、大豆製品、卵
食物繊維根菜類、いも類、海藻類、こんにゃく、たけのこなど
公開日:1999年4月3日