多くの人を苦しめる「腰痛」、その原因は何でしょうか?「骨格」「筋肉」「血行」の3つの点から、腰痛が起こるメカニズムを探りました。
腰痛は人類が2本足で立ったときから抱え込んでしまったものです。でもその腰痛の種を発芽させてしまうかは、個人の生活習慣や体の使い方に大きく作用されています。
特に忙しく便利になった現代社会では確実に腰痛持ちが増えています。
そこで、3つの原因「骨格」「筋肉」「血行」から腰痛のメカニズムを探ってみましょう。
背骨(=背柱)はご存知の通り1本が体の真ん中を通っているわけではなく、短い骨(=椎)が並んでいます。各椎の間には椎間板と呼ばれるクッションがあります。背骨を細かく見れば首に始まる頚椎7本、胸椎12本、腰椎5本、仙椎5本、尾椎3~5本からなっています。この背骨の回りには筋肉があり、骨を支え(もちろん他の骨の回りにもある)、その筋肉の運動によって体を曲げたり伸ばしたりできるのです。特に、腰付近の背骨からは、下半身の神経が多く集中しています。
高齢になると長年の習慣で骨が変形してきます。例えば前屈みの姿勢の多い仕事の人や重い荷物をよく持つ人は背中が曲がったり、右手を使う仕事だと体全体が右曲がりになったりします。中高年の腰痛に多いのがこのタイプです。
骨がまだできあがっていない若い時期に、過激な運動が骨に影響を与えてしまうと、背骨の骨折である腰椎分離症が起こります。
また骨折までいかなくても、若年時代の過激な運動で痛めた腰の痛みは成長しても残ることが多いので注意が必要です。
骨と骨の間にあり、クッションの役割をしている椎間板。重い荷物を持ったり、一定の姿勢を長時間とっていると、骨がゆがみ、次第に椎間板も圧迫され、ひしゃげたサンドイッチの中身のように飛び出してきます。それが神経に触れると、痛みはもちろん、足のしびれなども起こします。こうなったら、入院にまで発展するので、がまんばかりせずにこうなる前にきちんと治療を受けた方が良いでしょう。これは背骨の中でも首の頚椎と腰の腰椎で起こることが多いようです。それだけ腰や首が酷使されているということです。
筋力が低下すると、例えば腰痛の場合もレントゲンなどでは特に異常が認められず、症状もだるい重いといったことになります。
簡単に言ってしまうと、筋肉が弱くて支えきれずにそれでも体を曲げたり伸ばしたりしないわけには行かず、筋肉が疲労してだるくなったり(筋肉を使いすぎると筋肉組織内にブラジキニンという発痛物質を作り出し、腰痛を引き起こします)、腰椎にやたらに負担をかけて、いずれ骨格(すなわち腰椎)にも負担がかかってくることになります。
血液の循環が良くなければ、体に凝りが生じ、筋力の低下を生じ、血管の回りに発痛物質のブラジキニンを発生させます。
血行が悪くなる大きな原因は、運動不足、きつい下着、そして太りすぎです。脂肪が血管を圧迫して収縮させてしまい、血のめぐりが悪くなります。
ブラジキニンという痛みの刺激をもった化学物質が発生するとそれが神経を刺激します。その結果、カルシウムイオン濃度が高くなり、 電位として脊髄から脳へ伝わり、痛いと感じる仕組みとなっています。ブラジキニンには、発痛作用のほか、血管拡張作用、血管透過性亢進作用があって、古典的な急性炎症症状すなわち、発赤、腫脹、発熱、疼痛を生じます。現在では、ブラジキニンが炎症による痛みの主要起因物質であると考えられています。