疾患・特集

行動変容とその2つの鍵

行動変容って何?

「行動変容」ってなんだか聞き慣れない日本語ですが,これこそパーソナルヘルスケアネットワークの重要なテーマ。
「行動変容」とは、生まれてこのかた、培われてきた行動のパターンを,望ましいものに変えていこうということ。
健康というテーマで言えば,適度な身体活動やバランスのとれた栄養摂取習慣、smoke-freeのライフスタイルの確立など、一生にわたって日常的に維持されていかなければならない行動を獲得しようということである。
そうは言っても,わかっちゃいるけど…なかなか、行動を変えるのは難しい。
では,どうしたら行動は変えられるのか。

outcome expectancy:結果期待感とself-efficacy:自己効力感

「どうしたら行動は変えられるのか」そのようなことを行動科学の先生たちは研究しておられる。
その数ある理論やモデルの中でも社会的認知理論は、特に示唆に富んでいる。
Banduraという学者によれば、ある人が行動変容に成功するための鍵は2つ。

  1. 行動変容の対象となっている行動がその人にとって望ましい成果をもたらすだろうと考えること(outcome expectancy belief:結果期待感)
  2. その人自身が実際にその行動を起こすことができると自信を持つこと(self-efficacy belief:自己効力感)

例えば「禁煙」。
ある人が禁煙に挑戦しないのは、禁煙することは自分の健康のためによいと思っている(高い結果期待感)にもかかわらず、禁煙する自信がない(低い自己効力感)からかもしれない。
あるいは、自信をもって禁煙することができる(高い自己効力感)と思っていても、禁煙することに何の意義も見い出していない(低い結果期待感)からかもしれない。

禁煙することによって自分の望む成果が得られると確信し、禁煙のプロセスの中でさまざまな障害に出くわしても、「たばこを吸わずにそのような状況に対処していける」という自信を身につけることによって、「smoke-freeのライフスタイルを築き上げる」という課題に成功するというのである。

あなたの「わかっちゃいるけど…」は、outcome expectancyが低い?それともself-efficacyが低い?