疾患・特集

検査結果の判定方法

検査結果がすぐに疾患に結びつくわけではない

多くの臨床検査の結果は、それぞれの生体内の病理生理学的変化の一部を反映しているにすぎません。検査結果が即、特定の疾患に結びつくわけではないのです。
医師は、そうした検査値の変動が示す病気を想定します。さらに問診や病歴、診察所見、精密検査を参考にして診断を決定します。

上昇幅が大きいから重症、とは限らない

例えば、肝機能の状態を表わす血清GOT・GPTの検査値を例にとってみましょう。これらの数字が上がる範囲によって幾つかの疾患が想定されます。ですが、必ずしも上昇幅が大きいからといって重症であるとは限らないのです。
たしかに劇症肝炎など重症な疾患では、GOT・GPTは高度に上昇(500以上)します。しかし、急性肝炎の初期にも同じように高度上昇を示すのです。
逆に、アルコール性肝障害や状態が落ち着いている慢性肝炎などでは軽度上昇(150以下)です。
一方で、肝硬変や肝細胞がんといった肝臓にとっての最終局面という状態でも同様に軽度上昇なのです。
もちろん検査項目によって違いはありますが、検査値の高低などに一喜一憂すべきではありません。