疾患・特集

検査値の正しい知識

「正常値」と「異常値」

血液や尿・便を採取して行われる一般の臨床検査(検体検査)は、どのような病気が存在するか「推測」するためのものです。正確な診断のためには専門的な検査が必要です。
では、よく耳にする「正常値」「異常値」というのはどういうことなのでしょう。臨床検査では、たくさんの健康人を調べた場合に、そのうちの95%の人が示す一定範囲内の値を正常値(基準値)と決めています。
つまり、あくまで統計的な数値にすぎません。健康人が20項目の検査を受けてすべてが正常値になる確率は、それぞれが独立した検査ならばわずか36%という調査結果もあります。検査には偽陽性がつきものなのです。

正常値はあくまでも目安

例えば、血清中の総コレステロール濃度の値は、年齢・性別・遺伝子・個体差などの先天的身体因子によって違います。気温・運動・食事などの環境因子の影響によっても変動します。健康な体ではその変動範囲は狭く、正常範囲を超えることは少ないのです。ただし、正常範囲を超えていても健康な場合もあるし、逆に正常範囲内でもその人が健康な時の値よりは病的と判断される場合もあります。
「正常値」は「正常/異常」を判断する物差しではなく、あくまでも目安です。また、健康診断などの検査データは保存しておき、自分の健康時の値を知っておくことも大切です。