疾患・特集

胃かいようとストレス

攻守のバランスが崩れやすい胃

胃がストレスに反応しやすいのは「胃がキリキリ痛む」「腹が立つ」といった感覚で多くの人が経験していることです。これは交感神経と迷走神経の支配を受けているための反応です。
ストレスを受けた時、交感神経の興奮によって胃の粘膜は血流が低下して虚血状態になります。その一方でストレスは延ずい-迷走神経という神経ルートをも刺激して胃酸分泌を盛んにし、また副腎皮質から分泌されるコルチゾールが胃の粘膜を保護する粘液分泌を抑制します。
こうして、胃の粘膜は防御能が低下した状態で胃酸の攻撃を受けることになり、それが胃の痛みなどにつながるのです。

ヘリコバクターピロリ+ストレスが胃かいようへのだめ押し

実は、これだけの刺激なら、軽いただれや出血程度の急性胃粘膜病変になるくらいで、ストレスが解消されればすぐに治ります。
ところがそこに胃かいようの原因といわれるヘリコバクターピロリ菌がいると、胃かいよう発症の可能性が一気に高まってしまうのです。
50歳以上の日本人の10人に6人は保菌者といわれますが、このようなストレスの刺激が、最後の胃かいようへのだめ押しになるのです。