疾患・特集

心と免疫とストレス反応

不安や恐怖も使いよう

「勝利の秘けつは、恐怖を感じることだ」と言った格闘家がいますが、これもストレス反応の一種を活用した考え方といえます。
大きな失敗をした時など、ぞっとした経験はありませんか。このような緊急ストレス時に分泌されるものの内、ノルアドレナリンには恐怖や不安などの感覚を強める作用があります。精神状態とストレス反応が関連していることを示す一つの事例といえるでしょう。
修行を積んだ格闘家なら、ノルアドレナリンをカンフル剤として活用することも簡単なのかもしれません。

免疫にも影響するストレス

代表的なストレス疾患にはぜんそくや、発がんなど、免疫機構の異常や低下が関与している疾患が少なからずあります。配偶者の死などの強度のストレスを感じている人を調べると、免疫をつかさどる細胞の活性が落ちている、といった調査結果もあります。
また、風邪やインフルエンザの感染がストレス反応のきっかけとなる場合もあります。この場合は、免疫反応が活性化することで視床下部や下垂体に刺激が伝わり、その結果コルチゾールの分泌高進が起こることが考えられています。
これらのことからも、精神-免疫-内分泌の密接な関係をうかがい知ることができるのです。