適度なストレスは交感神経系を目覚めさせ、判断力、行動力を高めます(緊急時反応)。セリエ(Selye)も「ストレスは人生のスパイスだ」と言っています。
この適度なストレスを快ストレス(eustress)、それに対して過剰で慢性的なストレスを不快ストレス(distress)ともいいます。ぴりっと味付けの聞いた人生を明るく過ごすために、快ストレスを上手に取り入れたいものです。
私たちの生活の中の不快ストレスには、家族や親友の死、けが、時には結婚のような環境の変化による急性ストレスと、夫婦間の不和、時間外労働の連続、リストラの心配など、じわじわと数ヵ月、数年間も続く慢性ストレスの2つがあります。
これら日常生活にある不快ストレスの程度を定量化した試みもあります(アメリカ精神医学会編)。アメリカと日本では文化や民族性の違いがあるので、この尺度が私たちの生活に全面的に当てはまるとはいえませんが、私たちの生活にあるストレスを知る一つの目安になるでしょう。
コード | 用語 | ストレスの例 | |
---|---|---|---|
急激に起こった事象 | 持続的環境 | ||
1 | なし | 急激に起こった事象で、障害に関連性があると思われるものはない | 持続的環境で、障害に関連性があると思われるものはない |
2 | 軽度 | 男(女)友達との破綻:入学または卒業:子供が家を離れる | 家族間のけんか:仕事の不満:犯罪多発地域で居住 |
3 | 中等度 | 結婚:別居:失職:退職:流早産 | 夫婦間の不和:深刻な経済的問題:上司とのトラブル:未婚の親となること |
4 | 重度 | 離婚:第1女の誕生 | 職なし状態:貧困 |
5 | 極度 | 配偶者の死:重大な身体疾患の診断:婦女暴行の犠牲 | 自分または子供の重い慢性疾患:身体的または性的虐待の継続 |
6 | 破局的 | 子供の死:配偶者の自殺:壊滅的な自然災害 | 人質としての拘束:強制収容キャンプの体験 |
7 | 情報不十分、または状態不変 | - | - |