疾患・特集

嫌酒薬

嫌酒薬を服用すると

現在日本でアルコール依存症のリハビリテーション中に使える薬は限定されています。嫌酒薬といわれ、一般名でシアナミド、ジスルフィラムという薬があるだけです。

この嫌酒薬はお酒が嫌いになる薬ではなく、お酒を飲みたくなるという気持ちもなくなりません。ただ、嫌酒薬を使用している時にお酒を飲むと、中間代謝物質であるアセトアルデヒドが体内に長時間滞在することになります。そして、顔が赤くなったり、頭痛、めまい、吐き気、呼吸困難、発汗、意識不明などの悪酔いの状態になってしまうので、一時的にお酒を飲まなくなるというものです。

治療には限界がある

ですから、薬をやめて効果が切れると、すぐにお酒が飲める体に戻ります。それに、アルコール依存症の人は初めはきちんと嫌酒薬を飲んでいても、しばらくすると色々な理由を付けて薬を飲まなくなってしまいます。
アルコール依存症はもともと心の病気ともいえますから、物理的にお酒を飲めなくする嫌酒薬だけで、治療することには限界があります。あくまで補助手段にしかならないのです。
この薬を使う時の注意点として、お酒を一緒に飲むと呼吸困難や意識不明、てんかん発作などを起こして、まれに死亡することがあります。
これは、お酒だけでなく香水やアフターシェーブローションなど、アルコールを使っている薬品や食品も使用してはいけません。ですから、患者に内証で家族が薬を飲ませることは、絶対あってはいけないことです。