疾患・特集

たばこはあらゆる病気のリスクファクター

年間 300万人が死亡

喫煙の害というと、多くの人たちは肺がんを連想します。確かに喫煙は肺がんの重要なリスクファクターですが、ほかの多くのがんのリスクも高めているだけでなく、がん以外の、体のあらゆる部位の疾患にも影響しています。
世界保健機関(WHO)などによる試算では、世界中で年間約 300万人が、たばこが原因で死亡しており、現在の喫煙傾向が続くと、20~30年後にはそれが年間約1000万人になると予測されています。
また、日本での、たばこが原因とされる死亡数は、最近の試算によると(95年)9万5000人(うち男性7万6000人、女性1万9000人)でした。20年で約2倍に増加し、この傾向はさらに続くと考えられています。

喫煙関連疾患の一部

喫煙により発症のリスクが増大すると考えられる疾患を「喫煙関連疾患」、あるいは「たばこ病」と呼んでいます。
以下のもののうち、悪性新生物、冠状動脈疾患、脳血管疾患、慢性閉そく性肺疾患は、喫煙が健康に与える悪影響の代表的なもので、英語表記の頭文字がどれもcであることから4cと称されています。

悪性新生物=がん(発がん物質による) -
呼吸器疾患(気道刺激による) 慢性閉そく性肺疾患、慢性気管支炎、ぜん息、肺気しゅ
循環器疾患(血管収縮、動脈硬化による) 冠状動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)、脳血管疾患(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)、末しょう循環不全
消化器疾患(胃粘膜下血管収縮による) 胃・十二指腸かいよう、逆流性食道炎
精神疾患(習慣性、離脱症状による) ニコチン依存症
産婦人科疾患(胎盤通過による) 周産期死亡、早産、先天奇形
代謝疾患(耐糖能、カルシウム代謝異常による) 糖尿病、骨そしょう症
神経疾患(脳血流低下による) 脳い縮、パーキンソン病
歯科疾患(歯周組織破壊、歯石増加による) 歯周炎、口内炎、口臭
免疫抵抗力(免疫機能低下による) アレルギー性疾患、創傷治癒遅延
スポーツ(低酸素による) 運動能力低下
美容(血管収縮、ビタミンC破壊による) 皮膚温低下、しわ増化
QOL 寝たきり化促進