疾患・特集

食物繊維の効果1 ~消化管~

消化管各部における食物繊維の影響

1. 口と胃

食物繊維の多い食物を摂取すると、長くかむ必要があり、その結果だ液の分泌が多くなります。
だ液の分泌が多いと口腔内の食物が希釈され、歯こうが形成されにくくなって虫歯が減ります。
また、多量に出ただ液と胃液によって、胃の中の内容物が増え、満腹感がもたらされます。そのため食べる量が減り、エネルギーの過剰摂取が予防できます。

2. 小腸

食物繊維を多く摂取すると、胃から小腸への食物の移動速度が遅くなります。これは食物繊維が消化管内で吸水してふくらみ、体積を増すためです。これにより、摂取した栄養素が希釈されることになります。
SDF(水溶性植物繊維)のような粘着性を持つものは、消化管内で栄養素の拡散を抑制し、コレステロールや胆汁酸のような物質を吸収します。
こうしたことが重なり、結果的に栄養素の吸収が遅くなると考えられています。

3. 大腸

食物繊維を多く摂取すると、食物の消化管の通過時間が短くなるとともに、便の量が増加します。
また、食物繊維によって腸内細菌が増殖されたり、大腸の細胞のエネルギーを作り出す手伝いもします。さらに、便の水分を保持し容積を増やして便秘を予防する作用もある上、それらの相互作用で大腸の病気や大腸がんを防ぐという効果もあります。

消化管各部における食物繊維の影響

部位 消化機能に対する影響
だ液分泌の促進
内容物の希釈、滞留時間の延長
小腸 内容物の希釈、吸収の遅延、胆汁酸の吸着
大腸 内容物の希釈、腸内細菌の増殖、発酵の基質(有機酸の生成材料)、水分の保持、陽イオンの結合、便の軟化、便容積の増加、便の滞留防止