疾患・特集

ビタミン有効利用のこつは油いため?

ビタミンA、Dの効率の良い調理法は油いため

ビタミンは脂溶性と水溶性の2つのタイプがあります。
脂溶性のビタミン(ビタミンA、D、E、K)は油脂に溶けやすく、水洗いなどで失われることはありません。加熱調理による損失が少なく、油脂と一緒に取ると体内への吸収率がぐんと高まることも特徴です。
例えば、ビタミンA(ベータカロチン)が多く含まれるホウレンソウを、ゆでる(3分間)、蒸す(5分間)、いためる(3分間)と調理法を変えて、そのカロチン減少率を比較したところ、それぞれ10%、5%、3%という結果でした。
つまり、ベータカロチンを有効に摂取するためには、油いためが一番効率が良いことが証明されています。
また、ビタミンDが多く含まれる干しシイタケを調理法別に比較したところ、ビタミンDの残存率は、植物油でいためる(2分間)が94%、植物油で揚げる(1分間)が100%という結果になり、これもまた、油による調理の効率の良さが分かっています。

水溶性ビタミンは壊れやすい

一方、水溶性のビタミン(ビタミンB1、B2、C、B12、葉酸、ナイアシンなど)は水で洗ったり、刻んだりすると減少し、加熱調理によって壊れたり、失われやすいタイプのビタミンです。
水溶性ビタミンのなかでも、ビタミンB1は、比較的加熱調理に強いビタミンですが、脂溶性ビタミンに比べると、その残存率は劣ります。
また、ビタミンCは特に加熱に弱いことがよく知られています。
つまり、脂溶性なのか水溶性なのか、ビタミンの性質を見極めて、調理を工夫し、摂取することが大切になってきます。

調理によるカロチンの損失

食品 調理法 処理時間(分) カロチン含有量(mg/100g) カロチン減少率(%)
新鮮物 調理品
ホウレンソウ ゆで 3
10
8.66
8.66
7.79
6.45
10
25
蒸し 5 8.66 8.17 5
油いため 3
5
7.02
5.93
6.81
5.64
3
5
コマツナ ゆで 5
13
6.15
6.15
4.73
4.01
23
35
ニンジン ゆで 10
30
6.66
4.21
6.64
4.06
0.3
3.6

出典:足利千枝「調理科学」(調理科学研究会編)光生館、1984

干しシイタケの調理によるビタミンD2の残存率

調理方法 ビタミンD2の残存率(%)
対照(干しシイタケ)
水戻し(30分間)
上記後水をしぼる
沸騰水中でゆでる(5分間)
同上(15分間)
同上(30分間)
植物油中でいためる(2分間)
植物油中で揚げる(1分間)
100
100
100
65
63
51
94
100

出典:「食品学総論」南江堂、1997